相続人全員が相続放棄をした後はどうなるの?

相続人全員が相続放棄をした後は

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みな司法書士法人 川上直也

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで介護の仕事をしていました。私は、実際にお年寄りが法律の問題でお悩みになっている姿を身近で見て、誰もが気軽に相談できる、心に寄り添う法律の専門家が必要だと感じるようになりました。こうした思いから司法書士になり、当事務所を立ち上げるに至ります。ご相談は、お気軽にどうぞ。

あなたが相続放棄を終えたとしても、少しの間は相続財産の管理を続けていかなければいけません。

なぜなら、法律には、「相続放棄をした人は、次の相続人が相続財産の管理をすることができるようになるまで、相続財産の管理を続けなければならない」と規定されているからです。

では、相続人全員が相続放棄を終えた後はどうなるのでしょうか。相続財産の管理義務というものはいつまで続くのでしょうか。

ここでは、相続人全員が相続放棄をした後の流れについてご説明していきます。もし、あなたがこのようなケースに疑問を持っているようでしたら、ここでの記事がお役に立ちます。ぜひ参考にしてください。

相続放棄後の基本的な注意点は、こちら↓にまとめてありますのでご確認ください。

相続放棄した後も財産管理は続く?相続放棄後の4つの注意点

2018.04.08

1.相続放棄と相続人不存在

相続の放棄をした人は、その相続に関して初めから相続人でなかったものとみなされます。

民法939条(相続放棄の効力)

相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

初めから相続人でなかったものとみなされますので、相続人全員が相続放棄をした後は、「はじめから相続人が誰もがいなかった」ということになります。

そして、相続人がだれもいなかったケースを、法律の用語で「相続人不存在」と呼びます。

具体的に次のようなケースが、相続人不存在に該当します。

  1. 生涯独身でもともと相続人となるべき人がいない。
  2. 相続人となるはずだった人全員がすでに他界している。
  3. 相続人全員が相続放棄をした。

したがって、相続人全員が相続放棄をしたら「相続人不存在」のケースに該当し、今後の手続きが進んでいくことになります。

2.相続財産管理人の選任

相続財産管理人の選任相続人不存在について法律の規定をみてみましょう。

民法951条(相続財産法人の成立)

相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。

民法952条(相続財産管理人の選任)

1.前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。

2.前項の規定により相続財産の管理人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告しなければならない。

ここには「相続人が誰もいない場合には、家庭裁判所は相続財産管理人を選任する」ということが書かれていますね。

この相続財産管理人は、通常、司法書士や弁護士が選任されます。

そして、相続財産の管理義務は、相続人から相続財産管理人に引き継がれます。この引き継ぎをして相続人の財産管理は終了になります。

その後、相続財産管理人が、相続財産の清算手続きを行っていくことになります。

2−1.相続財産管理人はだれが申立てるのか

相続財産管理人の選任には、家庭裁判所への申立てが必要です。

相続財産管理人の申立てができる利害関係人とは、被相続人にお金を貸した人(債権者)や被相続人の遺産を保管している人などです。

現実には、被相続人にお金を貸している金融機関などが申立てをします。

2−2.相続財産管理人の申立てにかかる費用は

  • 収入印紙800円
  • 郵便切手
  • 予納金(50万〜100万円程度)

申立てには上記の金額がかかります。この中で問題となるのは高額な予納金でしょう。

予納金は相続財産の精算手続きで使用されます。被相続人に不動産等の財産が少しでもあれば、裁判所は予納金を返還します。しかし、被相続人に財産がなければ、予納金は返還されません。

したがって、被相続人に不動産等の財産が残っていなければ、相続財産管理人の申し立てをしたところで費用倒れになってしまいますから、ほとんどのケースで申立てが行われることはありません。

相続財産管理人を選任せずに財産管理を続けていくか、相続財産管理人を選任してきちんと手続きを終えるべきか、相続人の置かれた状況によって難しい判断を迫られます。

3.相続財産管理人選任後の流れ

相続財産精算手続き相続財産管理人選任後の流れを簡単にご紹介します。

相続財産管理人選任

相続人不存在の場合、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任します。

1回目の広告 相続財産管理人選任の公告(期間:2か月)

相続財産管理人選任後、家庭裁判所は、相続財産管理人が選任されたことを官報で公告します。この広告には、相続財産管理人が選任された旨と、もし相続人がいるのなら名乗り出てほしい旨が記載されています。広告期間は2か月以上とされています。

2回目の広告 相続債権者及び受遺者に対する請求申出の公告(期間:2か月)

この2回目の広告は、債権者(被相続人にお金を貸した人)や受遺者(遺言で財産をもらうことになっている人)に対して行います。広告期間は2か月以上とされています。

3回目の広告 相続人捜索の公告(期間:6か月)

3回目には再度、相続人の捜索の公告を行います。この広告期間中相続人が現れなければ相続人の不存在が確定します。

特別縁故者への財産分与の申立(期間:3か月以内)

特別縁故者として財産分与の申立をしたい人は、3回目の広告期間満了から3か月以内に家庭裁判所へ財産分与の申し立てをします。

財産分与の審判が確定すると、相続財産管理人は特別縁故者に対して財産を引き渡すことになります。

残余財産の国庫への引継ぎ(相続財産管理人選任から13カ月以上経過)

特別縁故者に該当する人がいなかった、または清算手続きの結果財産が残った場合、相続財産は国のものとなり相続財産管理人の任務は終了することになります。

ここまで、始めの相続財産管理人の選任手続きから13カ月以上の期間が経過していることになります。

4.相続人全員が相続放棄をした後まとめ

以上みてきたように、相続人全員が相続放棄をした後は相続財産管理人が選任され、相続財産の精算手続きが進んでいくことになります。

ここでの記事が、あなたの参考になれば幸いです。

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