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個人事業をしていた親の相続放棄をしたい方へ

個人商店のイメージ

「個人事業主の親が亡くなりました。事業を継ぐ人がだれもいない場合、相続放棄をしたほうがいいのでしょうか…」というご相談を受けることがあります。

相続放棄をするか否かは、最終的には相続人自身のご判断で…となってしまいますが、どのような点に注意して個人事業主の親の相続放棄を考えたらよいのか、ここでご説明していきます。

1.事業用資産の所有者は個人事業主

個人事業主として事業を営んでいた場合、事業用の資産は個人の資産と区別はされません。事業用資産=個人の資産となり、事業主が亡くなった場合は、事業用の資産を含めた相続手続きが必要となります。

たとえば、事業を営んでいた店舗や事業用の預貯金、事業に関する借金などは、相続の対象です。

2.個人事業主の後継者がいない場合、相続放棄をしたほうがよいのか

たとえ亡くなった親の事業がうまくいっていたとしても、相続人自身の生活や仕事が安定していれば、あえて事業を継ぐ必要もないでしょう。事業を継続しないのなら、相続放棄も選択肢の一つとなります。

とはいえ、相続放棄は、プラスの財産を含めたすべての遺産を放棄する手続きです。亡くなった親の事業がうまくいっていたのなら、その遺産を相続した後に、税務署へ個人事業主の廃業届を提出するという選択肢もあります。

どちらを選ぶのかは、相続人自身のご判断で決めていただくことになります。

3.ポイントは事業に関する借金の調査と相続放棄の申述期間

相続放棄の申述期間

前述していますが、事業に関する借金は相続の対象です。相続をする前には必ず親の事業に関する借金を調べるようにしましょう。

ここで注意する点は、相続放棄の申述期間です。相続放棄には、「亡くなった人の死亡を知った時から3ヶ月」という期間制限があります。

通常であれば、この期間内に遺産の調査を終えられます。しかし、親が事業を営んでいた場合は、各取引先との売掛金・買掛金・金融機関からの融資、などを調査しなければならなため時間がかかります。

もし、相続放棄の申述期間(3ヶ月)に調査を終えることができそうもなければ、相続放棄の申述期間を伸長することができます。

民法915条(相続の承認または放棄をすべき期間)

1.相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

相続放棄の申述期間について、詳しくはこちら↓をご覧ください。

相続放棄の3ヶ月

4.相続放棄を選択するなら、親の遺産に手を付けないように

相続放棄をする(もしくはしようか迷っている)場合は、「事業をしていた親の遺産に手を付けずに手続きを進める」ということを覚えておいてください。

たとえ取引先が買掛金の支払いを求めてきても、「私は、相続放棄を検討していますので、支払えません」とお断りしましょう。

また、売掛金の回収も避けるべきです。

詳しくは、こちら↓の記事をご覧ください。

次の3つの行動で強制的に相続したものとなる

5.相続放棄をした後は

法律は、「相続放棄をした人は次の相続人が相続財産の管理をすることができるようになるまで、その財産の管理を続けなければならない」と規定しています。

民法940条(相続を放棄した者による管理)

相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

(2項略)

このように規定されている理由は、たとえば建物が相続財産にあったとすると、誰かが管理しなければ郵便物が溜まり続けてしまうし、建物が荒廃して近所の人に迷惑をかけてしまうおそれがあるためです。

あくまでも管理ですので、近隣の迷惑にならない程度に掃除をするぐらいで十分です。また、郵便物は処分せずにとっておくようにしましょう。

相続人の全員が相続放棄をした後は、債権者らの申立てによって「相続財産管理人」が選任されます。

この相続財産管理人が、亡くなった親の遺産をすべて精算して、一連の流れは終了します。

詳しくは、こちら↓の記事をご覧ください。

相続放棄をした後も財産管理は続く

6.まとめ

ここでは、個人事業主と相続放棄の関係について見てきましたが、いかがだったでしょうか。

ポイントは、相続放棄の申述期間内に遺産の調査をきちんと終えることです。必要があれば、相続放棄の申述期間は伸長できることも覚えておきましょう。

ここでの記事が、あなたの参考になれば幸いです

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ABOUT US
みな司法書士法人 川上直也
司法書士になる前は、特別養護老人ホームで介護の仕事をしていました。私は、実際にお年寄りが法律の問題でお悩みになっている姿を身近で見て、誰もが気軽に相談できる、心に寄り添う法律の専門家が必要だと感じるようになりました。こうした思いから司法書士になり、当事務所を立ち上げるに至ります。ご相談は、お気軽にどうぞ。