相続放棄をする前に知っておきたい4つの注意点

相続放棄4つの注意点

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みな司法書士法人 川上直也

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで介護の仕事をしていました。私は、実際にお年寄りが法律の問題でお悩みになっている姿を身近で見て、誰もが気軽に相談できる、心に寄り添う法律の専門家が必要だと感じるようになりました。こうした思いから司法書士になり、当事務所を立ち上げるに至ります。ご相談は、お気軽にどうぞ。

相続放棄をご検討中の方には、様々な事情があることでしょう。できれば、今すぐにでも手続きを終えて肩の荷を下ろしたい、といった方もいるのではないでしょうか。

しかし、相続放棄は人生を左右する重大な法律行為。あいまいな知識のまま行ってしまうと、思わぬ不利益を受けることもありえます。

そこで、ここでは、相続放棄の重要な注意点を4つに分けてご説明していきます。法律的な難しい表現は避けて、できるだけ分かりやすい言葉で説明していますので、ぜひ読み進めてあなたの相続放棄に役立ててください。

相続放棄とは

相続放棄を検討するためには、単純な「相続」とはなにかを知る必要があります。次の法律の規定を見てください。

民法896条(相続の一般的効力)

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

ここには「相続人は、一切の権利義務を承継する」と書かれていますね。この「一切の権利義務」とは、プラスの財産(預貯金)とマイナスの財産(借金)を合算した財産のことをいいます。

つまり「相続をする」とは、「被相続人のプラスの財産とマイナスの財産のすべてを相続人が引き継ぐこと」といえるでしょう。

マイナスの財産も引き継いでしまいますから、被相続人が多額の借金をしていればそれも引き継ぐことになります。そして、相続した借金は相続人自身の借金となり、引き続き支払っていかなければなりません。

このようなことを防ぐために、相続人は相続を放棄することができます。

民法939条(相続放棄の効力)

相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

相続放棄とは「初めから相続人とならなかったものとみなす」ことで、すべての財産の引き継ぎを放棄する手続きのことです。すべての財産の引き継ぎを放棄しますので、被相続人に借金があっても引き継いで支払う必要は無くなります。

例外的に放棄されない財産もある

相続放棄は、「すべての財産の引き継ぎを放棄する」と書きましたが、例外的に放棄されない財産もあります。詳しくはこちら↓で説明していますので、ご確認ください。

相続されない財産・祭祀財産と一身専属権とは

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2017年6月12日

相続放棄の注意点については、次項以下で詳しくご説明していきます。

相続放棄をする場合はここに注意

相続放棄を検討している人は、次の4点に注意しましょう。

1.相続放棄をするとプラスの財産も放棄される

前述したように、相続放棄は、プラスの財産も含めてすべての財産を放棄します。たとえば、住み慣れた我が家が被相続人名義であれば、それも手放す必要があるということです。どうしても手放したくない財産がある人は、よく検討する必要があるでしょう。

また、多少マイナスの財産があってもプラスの財産の方が多ければ、そのまま相続をした方がよいケースもあります。相続放棄をする前には、被相続人の遺産をしっかり確認してください。

2.家庭裁判所に申述する必要がある

単に相続人の間で「私は相続放棄をします」と話しただけでは相続放棄をしたことにはなりません。相続放棄は家庭裁判所に申述し、これが受理されて正式に認められることになります。

正式な相続放棄

当事務所にご相談に来られる方のなかにも「相続放棄」の意味合いを誤解している方が多くいらっしゃいます。遺産分割協議でする遺産の放棄と、家庭裁判所に申述する正式な相続放棄とでは、法律的な意味合いが全く異なります。相続放棄と遺産の放棄の違いは、こちら↓で解説していますので、ご確認ください。

相続放棄と遺産の放棄

あなたは誤解していませんか?遺産の放棄と相続放棄は異なります

2018年4月8日

3.一定の行動をとった場合は法定単純承認に該当してしまい、相続放棄が認められない可能性がある

相続放棄は、被相続人の財産に手を付けていない状態で申述する必要があります。たとえば、被相続人の預貯金を下ろして使ってしまった場合には、相続放棄が認められなくなってしまいます。

民法第921条(法定単純承認)

次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一  相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条 に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
(2号以下略)

もし、あなたが相続放棄を検討しているのなら、被相続人の財産に手を付けていない状態で手続きを進めるようにしましょう。

4.自分のために相続の開始があったことを知った時から「3ヶ月」以内にする必要がある

相続放棄は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。

民法915条(相続の承認または放棄をすべき期間)

1.相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
(2項略)

なお、被相続人の死亡した日から3ヶ月以内ではないことに注意してください。自分のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内となります。

相続放棄の3ヶ月

相続放棄の3ヶ月は各相続人ごとに進行します。詳しくはこちら↓で解説していますのでご確認ください。

相続放棄の3ヶ月

相続放棄の期間は3ヶ月-具体的な期間計算の方法

2018年4月8日
3ヶ月を過ぎても相続放棄をすることができるケース

3ヶ月を経過してしまったら、必ず相続放棄ができなくなってしまうわけではありません。詳しくはこちら↓で解説していますので、3ヶ月経過後の相続放棄を検討されている方はご確認ください。

3ヶ月経過後の相続放棄

3ヶ月の期間経過後に相続放棄をする具体的な方法

2018年4月8日

以上が相続放棄を検討する際の主な注意点となります。

相続放棄の注意点まとめ

相続放棄の注意点を、次の4点にまとめておきます。

  • 相続放棄は家庭裁判所に申述し、これが受理されて正式に認められることとなる。単に遺産分割協議書に財産を放棄する旨を記載するだけでは足りない
  • 相続放棄は、プラスの財産も含めてすべての財産を放棄する。多少マイナスの財産があってもプラスの財産の方が多ければ、そのまま相続した方がよいケースもある
  • 被相続人の財産に手を付けてしまった場合には、「法定単純承認」とよばれるものに該当してしまい、相続放棄をすることができなくなってしまう可能性がある
  • 相続放棄は、被相続人の死亡の事実を知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述する必要がある

ここに書かれている注意点は、相続放棄をする人なら必ず知っておくべき知識といえます。一つひとつの知識をしっかり確認して、相続放棄の手続を進めてみてください。

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