相続人がいない場合-特別縁故者は財産を相続できる?

野原に子供2人の後ろ姿

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みな司法書士法人 川上直也

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで介護の仕事をしていました。私は、実際にお年寄りが法律の問題でお悩みになっている姿を身近で見て、誰もが気軽に相談できる、心に寄り添う法律の専門家が必要だと感じるようになりました。こうした思いから司法書士になり、当事務所を立ち上げるに至ります。ご相談は、お気軽にどうぞ。

特別縁故者制度とは、被相続人(亡くなった人)が相続人なくして死亡した場合に、被相続人と特別な関係にあった人が相続財産を譲り受ける制度のことです。一般的にはあまり馴染みのないこの制度ですが、知っておくと役に立つことがあるかもしれません。

ここでは、特別縁故者として相続財産を取得するまでの流れを解説していきます。

1.特別縁故者制度とは

被相続人が相続人なくして死亡し、遺言も残していない場合には、家庭裁判所から相続財産管理人が選任されて相続財産の清算手続きが進んでいきます。

相続人不存在

被相続人が相続人なくして死亡した場合のことを、法律の用語で「相続人不存在」といいます。たとえば、被相続人が生涯独身でもともと相続人となるべき人がいない場合、相続人全員が相続放棄をした場合などは「相続人不存在」に該当します。詳しくは、こちら↓の記事をご確認ください。

相続人がいない場合、残った財産は国のものになる?

2017.06.15

相続財産管理人が相続人の調査をして、最終的に相続人が誰もいないことが確定した後、残った相続財産は国のものとなります。

しかし、状況によっては「被相続人と深い縁故があった人」に相続財産を取得させることが公平であると考えられる場合もあるでしょう。

そこで始まった制度が、特別縁故者による財産分与制度です。

2.被相続人が相続人なくして死亡した場合の手続きの流れ

まずは、被相続人が相続人なくして死亡した場合(相続人不存在といいます)の手続きの流れを見ていきましょう。

相続財産管理人選任

相続人不存在の場合、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって相続財産の管理人を選任します。

1回目の広告 相続財産管理人選任の公告(期間:2か月)

相続財産管理人選任後、家庭裁判所は、相続財産管理人が選任されたことを官報で公告します。

この広告には、相続財産管理人が選任された旨と、もし相続人がいるのなら名乗り出てほしい旨が記載されています。広告期間は2か月以上とされています。

2回目の広告 相続債権者及び受遺者に対する請求申出の公告(期間:2か月)

この2回目の広告は、債権者(被相続人にお金を貸した人)や受遺者(遺言で財産をもらうことになっている人)に対して行います。広告期間は2か月以上とされています。

3回目の広告 相続人捜索の公告(期間:6か月)

3回目には再度、相続人の捜索の公告を行います。この広告期間中相続人が現れなければ、相続人の不存在が確定します。

特別縁故者への財産分与の申立(期間:3か月以内)

特別縁故者として財産分与の申立をしたい人は、3回目の広告期間満了から3か月以内に家庭裁判所へ財産分与の申し立てをします。

財産分与の審判が確定すると、相続財産管理人は特別縁故者に対して財産を引き渡すことになります。

残余財産の国庫への引継ぎ(相続財産管理人選任から13カ月以上経過)

特別縁故者に該当する人がいなかった、または清算手続きの結果財産が残った場合、相続財産は国のものとなり相続財産管理人の任務は終了することになります。

ここまで、始めの相続財産管理人の選任手続きから13カ月以上の期間が経過していることになります。

この手続きの流れを見ていくと、特別縁故者への財産分与の申立は、相続人不存在が確定した後(相続財産管理人選任から約10カ月)から3か月以内に申し立てなければならないことが分かります。

3.どのような人が特別縁故者にあたるか

特別縁故者にあたる人は特別縁故者について、法律は次のように規定しています。

民法958条の3(特別縁故者に対する相続財産の分与)

1.前条の場合(相続財産管理人選任から約10か月後)において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

2.前項の請求は、第958条の期間の満了後3箇月以内にしなければならない。

ここに書かれていることをまとめると、特別縁故者となれる可能性のある人は次のとおりです。

3−1.被相続人と生計を同じくしていた者

被相続人と30年間苦楽をともにして、養子縁組届は出していないが事実上は養子として生活していた人など

3−2.被相続人の療養看護に努めた者

20年にわたって被相続人の家事など身の回りの世話をしつづけた、婚姻届けを出していないが事実上は配偶者として生活していた人など

3−3.その他被相続人と特別の縁故があった者

被相続人と同居し、看護や身の回りの世話をし続けたが、経済的には別個独立した生活を送っていた知人など

なお、どのような人が特別縁故者にあたるかについては、最終的には裁判所が判断をすることになります。このため、上記事例に似た境遇にある方でも、特別縁故者となれる保証はないことに注意してください。

4.特別縁故者になるには

必要書類等については、下記のほかに申立先の裁判所のHPを参考にしてください。

  • 申立人
    • 被相続人と生計を同じくしていた者
    • 被相続人の療養看護に努めた者
    • その他被相続人と特別の縁故があった者
  • 申立先
    • 被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
  • 申立期間
    • 相続人を捜索するための公告で定められた期間の満了後3か月以内
  • 申し立て費用
    • 収入印紙800円
    • 連絡用の郵便切手
  • 必要書類
    • 申立書
    • 申立人の住民票又は戸籍附票

前述したとおり、相続人の不存在が確定して3ヶ月以内に申立てなければならないことに注意しましょう。(相続人不存在が確定する時期は、相続財産管理人が選任されてから約10カ月後となっています)

5.特別縁故者と相続まとめ

以上みてきた特別縁故者制度についてのポイントは、次の3点となります。

  • 特別縁故者制度とは、被相続人(亡くなった人)が相続人なくして死亡した場合に、被相続人と特別な関係にあった人が財産を譲り受ける制度のこと
  • 特別縁故者への財産分与の申立は、相続人不存在が確定したあと(相続財産管理人選任から約10カ月)から3か月以内に申し立てなければならない
  • 特別縁故者になれる人は、①被相続人と生計を同じくしていた者、②被相続人の療養看護に努めた者、③その他被相続人と特別の縁故があった者、とされている

特別縁故者制度は、あくまで「相続人がいない場合」という条件がついた制度です。また、どのような人が特別縁故者にあたるかについては、最終的には裁判所が判断をすることになりますので確実性の保証はありません。

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