金融機関が口座名義人の死亡の事実を知った場合は、その口座を凍結します。口座が凍結されると、預貯金の払い戻しができなくなります。
もし、金融機関の口座が凍結されてしまってもあせる必要はありません。適切な相続手続きを取ることで、速やかに相続人名義の口座へ預貯金を引き継ぐことが可能です。
ここでは、預貯金の口座が凍結されてしまった場合の対処法についてご説明していきます。
目次
1.まだ口座が凍結されていない場合にしたほうがよいこと
金融機関は、口座名義人の死亡の事実を相続人からの申し出や新聞の訃報欄によって把握します。口座が凍結されてしまうと、預貯金の払い戻しをはじめ口座引き落としもできなくなってしまいます。
したがって、もし被相続人(亡くなった人)の口座が公共料金の引き落とし口座に設定されていたら、引き落とし口座の変更手続きをしておいたほうがよいでしょう。
各種ライフライン(水道・電気・ガス)などは、各会社に電話連絡をすれば、手続きの方法や必要書類を送ってもらえます。その書類に必要事項を記入して、変更手続きを済ませましょう。
なお、支払い方法の変更が完了するまでに1ヶ月ほどかかる場合がありますので、その間は銀行振込やコンビニ払いで対応する必要があります。
1−1.口座凍結前に預貯金をすべて下ろしてしまったほうがよいのか?
結論からいえば、やめておいたほうがよいでしょう。遺産分割協議前に一部の相続人が預貯金をすべて下ろしてしまう行為は、他の相続人との間でトラブルを招く可能性があります。
したがって、もし当面の生活費や葬儀費用でどうしても現金が必要な場合は、相続人全員の同意を得てから下ろすようにしましょう。連絡のつかない相続人がいる場合は、何にどれだけ使用したのかわかるように記録を残しておきます。
2.口座が凍結された後にすること

預貯金の口座が凍結されてしまった後は、速やかに相続手続きをとるようにしましょう。
大まかな手続きの流れは次のようになります。
- 預貯金の相続に必要な書類を収集・作成
→①被相続人の死亡を証明する戸籍謄本、②相続人を証明する戸籍謄本、③遺産の分け方を証明する書類、④相続人全員の印鑑証明書、の4点が必要になる - 遺言がある場合
→遺言の内容にしたがって各相続人に預貯金の払い戻しをしていく - 遺言がない場合
→遺産分割協議書の内容にしたがって各相続人に預貯金の払い戻しをしていく
2−1.預貯金の口座凍結解除(相続手続き)に必要な書類
預貯金の相続手続きに必要な書類は次のとおりです。
- 被相続人(亡くなった方)の死亡から出生までつながりのあるの戸籍謄本
入手先:被相続人の本籍地の市区町村役場(被相続人が本籍地を転々としている場合は、遠方の市区町村まで郵送で請求する必要もでてきます)
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
入手先:相続人の本籍地の市区町村役場
- 遺産分割協議書
入手先:自分で作成する必要があります。下記↓を参考に作成してください。
- 相続人全員の印鑑証明書
入手先:相続人の住所地の市区町村役場 - 相続手続き請求書
入手先:各金融機関窓口(WEBから入手可能な場合があります)
3.金融機関が口座を凍結する理由
たまに口座を凍結した金融機関に不満を訴える方もいらっしゃいます。しかし、金融機関には口座を凍結する理由があります。
金融機関が口座を凍結する理由は、「払い戻す対象の人をしっかり確認したい」からです。
預貯金を相続しない人に誤って払い戻しをしてしまうと、金融機関は責任を問われることになってしまいます。こうした事態を防ぐために、金融機関は、①各戸籍謄本で相続人を確認し、②遺産分割協議書で払い戻す対象の人を確認してから払い戻しているのです。
4.預貯金の口座が凍結されてしまった場合まとめ
以上のような手順で、口座の凍結を解除していきます。ポイントは遺産分割協議を成立させるところでしょう。遺産分割協議さえ整ってしまえば、後は書類の収集だけですのでそれほど難しい手続きではありません。
ここでの記事が、あなたの参考になれば幸いです。
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