相続登記と住宅ローン完済時の抵当権の抹消

家屋と芝生

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みな司法書士法人 川上直也

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで介護の仕事をしていました。私は、実際にお年寄りが法律の問題でお悩みになっている姿を身近で見て、誰もが気軽に相談できる、心に寄り添う法律の専門家が必要だと感じるようになりました。こうした思いから司法書士になり、当事務所を立ち上げるに至ります。ご相談は、お気軽にどうぞ。

最近では、金融機関でお金を借りて住宅ローンを組む際に、多くの人が団体信用生命保険(ここでは「団信」と呼びます)に加入するようになりました。

この保険は、住宅ローンの借主がローンの返済途中で死亡した場合に、残った借入金を保険会社が代わりに支払ってくれる生命保険のことです。残った借入金がゼロになりますので、住宅ローンは完済したことになり、その金融機関の抵当権を抹消することができます。

ここでは、相続の発生〜住宅ローンの完済と抵当権の抹消まで、一連の流れをご説明していきます。

団信についてはこちら↓の記事が参考になります。

住宅ローンは相続される?団体信用生命保険との関係

2017.06.11

1.抵当権とは

抵当権とは、貸したお金が返ってこなかったときに、その不動産を競売にかけて換金することができる権利のこと。たとえば、住宅ローン債権を担保している抵当権というのは、その住宅ローンの返済が滞ったときに、不動産を競売にかけて、売却代金を残りの住宅ローンに充当することができます。

相続が発生して団信の適用を受けた場合は、住宅ローンは完済したことになります。したがって、その住宅ローンを担保している抵当権も用済みになりますので、抹消することができます。

2.抵当権の抹消は誰がするのか?

抵当権は住宅ローンの完済によって勝手に消えることはなく、金融期間が代わりに抹消してくれることもありません。したがって、住宅ローンを組んだ人が自分でする必要があります。

3.相続登記と抵当権抹消登記の順番

抵当権抹消の順番2

登記の申請は、事実関係があった順番のとおりに申請します。

相続の発生から抵当権抹消までの事実関係は

  1. 住宅ローン契約者が亡くなる
  2. 団信によって住宅ローンが完済
  3. 完済によって抵当権が消滅する

の順番になります。

つまり、不動産の名義を相続した人に名義変更を行った後、抵当権抹消登記の申請をする必要があるということです。

なお、登記の申請は不動産所在地を管轄する法務局でする必要があります。
法務局の管轄一覧(リンク先は法務局のHPです)

4.相続登記と抵当権抹消登記の進め方

おおまかな手続きの流れは次のようになります。抵当権の抹消の前に相続登記が必要なことに注意しましょう。(※1.2は順不同)

  1. 金融機関に行って抵当権の抹消書類をもらう
  2. 相続登記必要書類を集める
  3. 抵当権を抹消する不動産に相続登記を入れる
  4. 抵当権を抹消する

4−1.金融機関で抵当権抹消の必要書類をもらう

金融機関で相続が発生したことを伝えましょう。団信の適用から抹消書類の受領まで数週間ほどかかる場合もありますが、金融機関の案内にしたがって手続きを進めていけば問題ありません。

抹消登記で必要となる書類は次の3点です。

  1. 抵当権解除証書
  2. 登記識別情報通知(または借り入れをした時に作成した契約書)
  3. 金融機関からの委任状

他にも色々書類を渡されると思いますが、上記3点があれば大丈夫です。

4−2.相続登記に必要な書類を集める

相続登記の進め方はこちら↓の記事に掲載してあります。

相続登記(土地、家など不動産の相続)に必要な書類と申請方法

2017.06.18

4−3.相続登記と抵当権抹消登記を申請

登記申請の順番は、①相続登記、②抵当権抹消登記、の順番になりますが、実際の登記申請は同時にしても問題ありません。これは「連件申請」と呼ばれる方法で、登記の申請書の右上あたりに、1/2、2/2とメモ書きをしておくだけで、法務局はこの順番通りに登記の申請があったと取り扱ってくれます。

4−4.相続登記と抵当権抹消登記の申請書の書き方

相続登記の申請書の書き方は、前掲したこちら↓の記事に掲載してあります。

相続登記(土地、家など不動産の相続)に必要な書類と申請方法

2017.06.18

抵当権抹消登記の申請書の書き方は次のようになります。

登記申請書

登記の目的 抵当権抹消(順位番号後記のとおり)

原因 平成〇年◯月◯日 解除(※または弁済)

権利者 静岡市葵区◯◯番の〇 甲野太郎

義務者 静岡市葵区◯◯番の〇 株式会社◯◯銀行
(会社法人等番号1234-56-789012)代表取締役◯◯

添付書類 登記原因証明情報 登記識別情報(※または登記済証) 代理権限証明書 会社法人番号等

送付の方法により登記完了証の交付を希望します

送付先の区分 申請人の住所

平成〇年◯◯月◯◯日申請 静岡地方法務局御中

申請人兼義務者代理人 静岡市葵区◯◯番の〇 甲野太郎

連絡先の電話番号 000ー000ー0000

登録免許税 金2,000円

 

不動産の表示

所 在 静岡市…

地 番 ◯◯番の◯

地 目 宅地

地 積 ◯◯平方メートル

(順位番号◯番)

所 在 静岡市…

家屋番号 ◯◯番

種 類 居 宅

構 造 木造かわらぶき平家建

床面積 ◯◯平方メートル

(順位番号◯番)

申請書を詳しく解説していきます。

  • 登記の目的
    「抵当権抹消(順位番号後記のとおり)」と記載しましょう
    順位番号とは、登記簿謄本に記載されている抵当権の順位番号のことです。
  • 原因
    金融機関から受領した解除証書に、「◯月◯日抵当権を解除します」などの文言が入っているはずですので、その年月日を記載します。
    解除証書の文言が「弁済」となっていたら、「弁済」と記載します。
  • 権利者
    相続登記によって不動産の所有者となった人の氏名を記載します。所有者が複数人いる場合は、全員を記載します。
  • 義務者
    借り入れをした金融機関を記載します。金融機関からの解除証書や委任状に本店所在地と代表者の氏名が記載されていますので、そちらを参照してください。
    会社法人番号も金融機関から受領した書類の中に記載されていると思いますが、もし無い場合は、下記サイトで検索して記入してください。
    国税庁-法人番号公表サイト(リンク先は国税庁のサイトです)
  • 添付書類
    • 登記原因証明情報
      金融機関から受領した解除証書のことです。
    • 登記識別情報(または登記済証)
      金融機関から受領した書類の中に、登記識別情報か登記済証のどちらかが入っています。
      登記識別情報の場合は、シール部分をめくるとパスワードが記載されています。シールをめくった状態でコピーをとり、封筒に入れて提出します。
      登記済証とは、借り入れをした時に作成した契約書に法務局の印を押したものです。これは原本のまま提出すればOKです。
    • 委任状
      金融機関から受領した書類に入っています。委任者に自分の氏名を書いて提出します。
    • 会社法人番号等
      特別な書類は必要ありません。義務者欄に記載されていればOKです。
  • 登記識別情報交付方法
    登記が完了すると「登記完了証」が発行されます。
    郵送で交付してもらいたいときは、「送付の方法による交付を希望する」と記載します。この文言を記載しない場合は、登記完了後に法務局での交付となります。
  • 申請日、管轄
    実際に登記申請する日を記載してください。
    管轄は不動産の所在地によって定まります。
    法務局の管轄一覧(リンク先は法務局のHPです)
  • 登録免許税
    不動産の個数1個につき1,000円です。
    登録免許税は、法務局などで購入できる収入印紙で納付します。
  • 不動産の表示
    登記簿謄本(登記事項証明書)のとおりに記載します。
    順位番号とは、登記簿謄本に記載されている抵当権の順位番号のことです。

以上が、抵当権抹消登記の申請書の書き方となります。

5.抵当権の抹消に期限はあるの?

抵当権抹消の期限

抵当権の抹消に期限はありません。ローンの完済と同時に抵当権は効力を失いますので、その抵当権が残っているからといって自宅が競売にかけられるようなこともありません。

とはいえ、将来自宅を売却する必要がでてきた時には、抵当権が付いたままでは売却することができません。この時に金融機関から受け取った必要書類等を紛失してしまっていると、余計な手間と費用がかかることになってしまいますので、相続が発生してローン完済となった時点で、速やかに抹消されることをおすすめします。

6.相続と抵当権の抹消まとめ

ここでは、相続の発生〜住宅ローンの完済と抵当権の抹消まで、一連の流れを見てきましたがいかがだったでしょうか?

ここでの一番のポイントは、抵当権抹消の前に相続登記が必要となることでしょう。

抵当権の抹消手続き自体は、それほど大変な作業ではありません。少しぐらい申請書の書き方が間違っていても、法務局の担当者が丁寧に教えてくれます。

しかし、相続登記は登記申請の前に多くの書類を集める必要があり、相続人全員で遺産分割協議を開催する必要があります。また、相続人の中に未成年者がいたら、裁判所に対して特別代理人の選任を請求する必要もでてきます。

もし、ご自身での申請を負担に感じたら、司法書士などの専門家に手続きを依頼することを考えてみてはいかがでしょうか。

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