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成年後見人になる人は、どうやって決定されるの?

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成年後見人の選任は、最終的には裁判所が決定をします。

したがって、「確実に◯◯さんを後見人に選任する」といった方法は、残念ながらありません。

とはいえ、申立て時の状況によっては、どんな人が後見人に選任されるのかある程度予測を立てることができます。

ここでは、成年後見人の選任方法とその流れをご説明しています。

ここでの記事は、法定後見制度についてのご説明です

成年後見制度は、大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類に分かれます。このうち「任意後見制度」は、自分の判断能力がしっかりしているうちに、後見人となってほしい人とあらかじめ契約をしておくことができます。

この記事の成年後見人選任方法は、すべて「法定後見制度」についての解説となります。

法定後見と任意後見の違いは、こちら↓の記事をご覧ください。

子供2人と老夫婦

1.成年後見人の選任方法

成年後見人は、次の流れによって選任されます。

  1. 本人の成年後見人となってほしい人を後見開始申立書に記載する(裁判所に推薦する)
  2. 裁判所は本人の諸事情を考慮し成年後見人を選任する(①の推薦者以外の人を選任する場合もある)

成年後見人の選任は、最終的には裁判所が決定をします。申し立て時に後見人となってほしい人を裁判所へ推薦することは可能ですが、裁判所はその内容に拘束されず、後見の申し立てのなされた本人の諸事情を考慮し、本人にとって適任といえる人を選任するようにしています。

「本人の諸事情」とは、主に、

  1. 法的な問題点の有無
  2. 本人の財産の多寡
  3. 親族間の対立の有無

などが考慮されます。

たとえば、次のようなケースが考えられます。

後見人選任の例①
  1. 申し立て時に、本人の身の回りの世話をしていた親族を裁判所へ推薦した。
  2. 裁判所は、後見人の選任に際して次のような事情を考慮した。
    1. 申し立ての理由が、主に本人の介護保険契約と預貯金の管理であること
    2. 本人の預貯金が少額であること
    3. 親族間の対立がないこと
  3. このような状況では、本人にとって適任といえる後見人は、①の推薦された親族であると裁判所は判断し、後見人として選任した。
後見人選任の例②
  1. 申し立て時に、本人の身の回りの世話をしていた親族を裁判所へ推薦した。
  2. 裁判所は、後見人の選任に際して次のような事情を考慮した。
    1. 申し立ての理由が、本人の不動産の管理・売却であること
    2. 本人の預貯金が多額であること
    3. 親族間で、本人の財産管理の方法に対立があること
  3. このような状況では、本人にとって適任といえる後見人は、①の推薦された親族ではなく、司法書士などの法律知識を有した専門家であると判断し、後見人として選任した。

以上のような流れで、後見人は選任されます。

2.親族後見人が選任されるケース

親族後見人の選任

「親族後見人」とは、本人にとって近しい親族などが該当するでしょう。「専門職後見人」とは、司法書士、弁護士、社会福祉士などの、法律・福祉の専門家を指します。

そして、

  1. 申立て時に親族後見人を推薦している
  2. 法的な問題点がほとんどない
  3. 本人の財産が少ない
  4. 親族間の対立がない

といったような事情があれば、親族後見人が選任される可能性が高くなります。

親族後見人について、詳しくはこちら↓の記事でご説明しています。

テーブルに置かれたノート

3.専門職後見人が選任されるケース

次のような場合は、専門職後見人が選任される可能性が高くなります。

  1. 本人の身近に親族がいない
  2. 法的な問題点が多数ある
  3. 本人の預貯金が多額である
  4. 親族間に対立がある

このような場合には、専門職後見人が選任される可能性が高くなります。

3−1.専門職後見人の報酬

専門職後見人が選任された場合は、本人の財産の中から報酬を支払うことになります。この報酬額は、本人の財産の多寡に応じて裁判所が決定します。

★後見人報酬の目安の例

本人の財産が1000万円以下 月額2万円
本人の財産が1000万円〜5000万円 月額3〜4万円
本人の財産が5000万円以上 月額5〜6万円

その他、後見人が特別な行為をした場合に支払われる、付加報酬と呼ばれるものがあります。

★付加報酬の例

  1. 訴訟行為
  2. 遺産分割調停
  3. 居住用不動産の任意売却 など
本人の財産が少なくても大丈夫です

たまに、「本人のお金がないから専門職後見人をつけられない…」という方もいらっしゃいますが、これは大きな誤解です。裁判所は、本人の財産の多寡に応じて報酬額を決定します。本人に報酬を支払えるような財産がなければ、報酬額が0(ゼロ)になることもありえます。

この場合、後見人は、後見制度を支援している市町村等の制度を利用して、そちらから報酬をいただくようにしています。

同様の理由で、「後見人の報酬を支払ったから、本人の財産が無くなった」ということは起こりません。

また、「本人の財産が少ないから、家族に報酬の請求がいく」なんてこともありえません。

4.まとめ

POINT

★成年後見人の選任方法

  1. 成年後見人は、裁判所が選任をする
  2. 裁判所へ、後見人にしたい人を推薦することができる
  3. 裁判所は
    1. 法的な問題点の有無
    2. 本人の財産の多寡
    3. 親族間の対立の有無

などの事情を考慮し、成年後見人を選任する

ここでは、成年後見人の選任方法をみてきましたが、いかがだったでしょうか。

成年後見人の選任は、最終的には裁判所の判断で決定されますが、事前にある程度の見通しを立てておくことは、申し立て時の安心につながるでしょう。

ここでの記事が、あなたの参考になれば幸いです。

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ABOUT US
みな司法書士法人 川上直也
司法書士になる前は、特別養護老人ホームで介護の仕事をしていました。私は、実際にお年寄りが法律の問題でお悩みになっている姿を身近で見て、誰もが気軽に相談できる、心に寄り添う法律の専門家が必要だと感じるようになりました。こうした思いから司法書士になり、当事務所を立ち上げるに至ります。ご相談は、お気軽にどうぞ。