法定後見制度は、すでに判断能力が衰えてしまった方が利用するのに対し、任意後見制度は、ご自身が元気なうちに、後見人になってほしい人とあらかじめ契約をしておく制度です。
自分の判断能力がしっかりしているうちに、後見人予定者やその仕事内容を決めておける点が任意後見制度の大きなメリットといえるでしょう。
ここでは、任意後見制度を利用する際にかかる費用についてご説明していきます。
目次
1.任意後見契約を利用する方法
任意後見制度を利用するためには、公正証書で契約を締結する必要があります。公正証書とは、公証役場に在籍している公証人が作成した文書のことです。
任意後見契約は、本人の今後の人生にとって重要な契約となるものですから、契約をする本人の意志や、任意後見契約に関する法律にしたがった契約内容であるかを確認するために、公証人が作成する公正証書によって、契約を締結しなければならないと定められているのです。
なお、お住いの地域の公証役場を調べるには、「お住いの地域+公証役場」で検索をすれば、簡単に確認をすることができます。
2.任意後見契約に必要な書類
任意後見契約に必要な書類は、次のとおりです。(※発行後3ヶ月以内のもの)
- 本人
- 印鑑証明書、戸籍謄本、住民票
- 任意後見受任者
- 印鑑証明書、住民票
3.任意後見契約にかかる費用
任意後見制度を利用するためには、次のような費用がかかります。
- 公証人手数料
- 司法書士などへの専門家報酬
- 任意後見人に支払う報酬
- 任意後見監督人に支払う報酬
- 任意後見契約以外にかかる手数料と報酬
3−1.公証人手数料
公証人手数料とは、契約書作成時に公証人に支払う手数料のことです。全国一律の料金が定められています。
- 公証役場の手数料
- 1契約につき1万1000円、それに証書の枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚を超えるときは、超える1枚ごとに250円が加算。
- 法務局に納める印紙代
- 2,600円
- 法務局への登記嘱託料
- 1,400円
- 書留郵便料
- 約540円
- 正本謄本の作成手数料
- 1枚250円×枚数
3−2.専門家報酬
専門家報酬とは、任意後見契約書の作成や起案を司法書士や弁護士等の専門家に依頼した場合の報酬のことです。この報酬は各専門家によって異なりますが、目安として、だいたい10万円前後の報酬規定を掲げているところが多いようです。
また、各専門家によって受けられるサービスも異なりますので、この点も含めてよく確認しておいたほうがよいでしょう。
3−3.任意後見人に支払う費用
任意後見人にいくらの報酬を支払うかは、本人と任意後見人予定者との話し合いで決めることになります。
一般的には、後見人予定者を本人の身内の人にお願いした場合は無報酬の取り決めをすることが多く、後見人予定者を司法書士などの専門家とした場合は、報酬が発生します。専門家報酬がいくらになるかは、各専門家や管理する財産によって異なりますが、月額3万円〜としているところが多いようです。
3−4.任意後見監督人に支払う報酬
任意後見が開始すると、後見人を監督する「任意後見監督人」が選任されます。この任意後見監督人の選任権限は家庭裁判所がもつため、あらかじめ契約で定めておくことはできません。
そして、任意後見監督人の報酬は、家庭裁判所が決定をします。
家庭裁判所が公開している後見監督人の報酬のめやすは、管理財産額が5,000万円以下では月額1万円~2万円、5000万円を超えると月額2万5000円~3万円とされています。
3−5.任意後見契約以外にかかる手数料と報酬
上記のほかに、任意後見契約以外の通常の委任契約(任意代理代理契約や見守り契約など)を締結した場合には、別途費用がかかります。
公正証書を作成すれば、公証人手数料がかかりますし、見守り契約・任意代理契約等を専門家に依頼すれば、専門家報酬が発生することになります。
4.まとめ
ここでは、任意後見契約にかかる費用についてみてきましたが、いかがだったでしょうか。
任意後見契約は、ご本人が元気なうちに、後見人予定者とあらかじめ契約をしておく制度です。
ご本人の希望に応じて、後見人予定者の仕事内容や支払う報酬まできちんと決められる点は、任意後見契約の大きなメリットといえるでしょう。
なお、任意後見契約の具体的な内容と手続きの流れについては、こちら↓の記事で解説をしていますので参考にしてください。
ここでの記事があなたの参考になれば幸いです。
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