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【図表付き】法定相続人の範囲と順番を詳細に解説

相続人となるのは誰か

相続手続きを進めるために最初に確認すべき事項は、「相続人になるのは誰か」という点です。

相続人の範囲は民法の規定にしたがって決められており、法律上の相続人となる人のことを「法定相続人」といいます。

ここでは、相続人の範囲とその順番についてご説明していきます。

1.法定相続人と法定相続分とは

「法定相続人」とは、民法の規定によって決められた相続人となる人のことです。この法定相続人が、被相続人(亡くなった人)の遺産を引き継ぐ権利を持ちます。

そして、「法定相続分」とは、被相続人が遺言を残さず死亡した場合に、民法の規定によって遺産を分ける際の基準を示したものです。あくまでも基準なので、相続人同士で話し合って法定相続分と異なる遺産分割をすることは、適法な行為となります。

法定相続分よりも遺言が優先

遺言がある場合は、法定相続分の規定よりも遺言の内容が優先されます。これは、自分の財産の最後の処分方法は、その人の意思を最大限に尊重すべきだと考えられているからです。法定相続分は、あくまでも遺言がない場合の補充的な位置づけとなります。

とはいえ、日本において遺言の作成者の割合は5〜10%程度といわれています。したがって、ほとんどの方は遺言がなく相続手続きを進める必要があり、この「法定相続分」を目安にして遺産分割をすることになります。

2.法定相続人の範囲

相続人となる人の順番は、次のとおりです。

  1. 子(直系卑属(下の世代))
  2. 親(直系尊属(上の世代))
  3. 兄弟姉妹

※配偶者は常に相続人となります。

3.相続人のケース別法定相続分

次は、各相続人のケース別に法定相続分の具体例をみていきます。なお、すべて遺言がない場合の具体例になります。

3-1.相続人が配偶者のみ

配偶者のみが相続人の場合、配偶者がすべての財産を相続することになります。

3-2.相続人が配偶者と子

配偶者と子が相続人の場合、

  • 配偶者の法定相続分は、2分の1
  • 子の法定相続分は、2分の1(子が複数人いる場合、人数で按分します)

例1:遺産の合計額が6,000万円で、相続人として配偶者と子1名がいる場

  • 配偶者の法定相続分=3,000万円
  • 子の法定相続分=3,000万円

例2:遺産の合計額が6,000万円で、相続人として配偶者と子2名がいる場合

  • 配偶者の法定相続分=3,000万円
  • 子の1名の法定相続分=1,500万円(合計3,000万円)

3-3.相続人が子のみ

子のみが相続人の場合、子がすべての財産を相続することになります。

3-4.相続人が親と配偶者

配偶者と親が相続人の場合、

  • 配偶者の法定相続分は、3分の2
  • 親の相法定続分は、3分の1(親が複数人いる場合、人数で按分します)

例1:遺産の合計額が6,000万円で、相続人として配偶者と親1名がいる場合

  • 配偶者の法定相続分=4,000万円
  • 親の法定相続分=2,000万円

例2:遺産の合計額が6,000万円で、相続人として配偶者と親2名がいる場合

  • 配偶者の法定相続分=4,000万円
  • 親の1名の法定相続分=1,000万円(合計2,000万円)

3-5.相続人が親のみ

親のみが相続人の場合、親がすべての財産を相続することになります。

3-6.相続人が配偶者と兄弟姉妹

配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合、

  • 配偶者の法定相続分は、4分の3
  • 兄弟姉妹の法定相続分は、4分の1

例1:遺産の合計額が6,000万円の場合で、相続人として配偶者と兄弟姉妹がいる場合

  • 配偶者の法定相続分=4,500万円
  • 兄弟姉妹に法定相続分=1,500万円

例2:遺産の合計額が6,000万円で、相続人として配偶者と親2名がいる場合

  • 配偶者の法定相続分=4,000万円
  • 親の1名の法定相続分=750万円(合計1,500万円)

3-7.相続人が兄弟姉妹のみ

兄弟姉妹のみが相続人の場合、兄弟姉妹がすべての財産を相続することになります。

4.法定相続人特殊なケース

4-1.胎児

胎児は、相続については、既に生まれたものとみされます。(民法886条1項)

遺産分割の際には、胎児の相続分にも配慮しましょう。ただし、この取り扱いは、胎児が無事に生まれた場合に限ります。(民法886条2項)

4-2.父が認知した子

父から認知された子は、相続人となります。他の相続人の子と同じ法定相続分を有します。

他方で、血縁上は父の子だとしても、認知されていなければ相続人とはなりません。

血縁関係があっても父から認知されなかった子は、父死亡の日から3年内に限り、認知の訴えを提起することができます。(民法787条)

4-3.前配偶者の子

前配偶者の子も相続人となります。親子関係は、離婚によって解消しません。

4-4.前配偶者

前配偶者は相続人とはなりません。

相続権のある配偶者とは、被相続人の死亡当時の配偶者のみです。

4-5.内縁の配偶者(法律婚をしてない配偶者)

内縁の配偶者は相続人とはなりません。相続人になるためには、法律婚が必要です。

もし、内縁の配偶者に財産を残したければ、遺言を書きましょう。

4-6.養子

養子は、子と同順位で相続人となります。

ただし、被相続人の死亡前に離縁をして養子縁組関係を解消していた場合には、養子の身分を失うので相続人とはなりません。なお、死亡後に離縁した場合でも相続関係に影響はありません。

養子と実親の相続関係

養子縁組をしても、実親との縁は切れません。したがって、他家に養子に出た人も実親の相続人となります。つまり、養子は、実親と養親の双方の相続人となります。

4-7.孫・甥・姪

孫・甥・姪は相続人とはなりません。ただし、代襲相続が発生している場合は相続人となりえます。

代襲相続とは、

  1. 相続人となるべき子がすでに亡くなっている場合
  2. その相続人となるべき子に子供(被相続人からみれば孫)がいれば
  3. その子供(孫)が相続人となる

制度のことです。

代襲相続人の相続分は、本来の相続するはずだった相続人の相続分を引き継ぎます。そして、代襲相続人が複数人いる場合は、引き継いだ相続分を代襲相続人の人数で均等割りします。

代襲相続の開始原因は、相続人となるべき子の死亡だけに限られません。相続人が廃除された場合、欠格事由に該当する場合にも、代襲相続をすることができます。

4-8.行方不明者がいる場合

行方不明者も相続人となります。単に連絡先が分からないだけであれば、戸籍謄本をたどり、住所を調べることができます。住所が判明したら、手紙を差し出すなどして連絡をとってみましょう。

他方で、住民票の住所地にも住んでいる形跡がなく、生きているのか亡くなっているのかさえまったく分からない…という方でも相続人となります。このような場合に遺産分割協議を行うには、①失踪宣告、②不在者財産管理人選任、という方法で、相続手続きを進めることができます。

4-8-1.失踪宣告とは

行方不明者が7年間生死不明の場合、他の相続人からの申立てにより家庭裁判所で失踪宣告をすることができます。

失踪宣告を受けた人は、生死不明時から7年の期間満了時に、法律上死亡したものとみなされます。遺産分割協議は、失踪宣告を受けた人の相続人を加えて行うことになります。

4-8-2.不在者財産管理人とは

失踪宣告は、生死不明時から7年の期間が経過していることが条件です。また、どこかで生きているような可能性がある場合にも失踪宣告はできません。

このように失踪宣告の要件を満たさない場合でも、家庭裁判所に申立てをして不在者財産管理人を選任することができます。

不在者財産管理人は、家庭裁判所の許可(権限外行為の許可)を得て遺産分割協議に参加することができます。

4-9.相続廃除者

相続人の廃除とは、遺留分を有する推定相続人が

  • 被相続人に対して虐待をした
  • 被相続人に対して重大な侮辱を加えた
  • その他著しい非行を行った

という状況がある場合に、被相続人が家庭裁判所に申立てることによって、その者の相続権を剥奪する制度のことです。(民法892条)

廃除された方は、相続権を失います。なお、相続人の廃除は、遺言によってもすることができます。

4-10.相続欠格者

次の事由にあたる相続人は、相続欠格者となり、当然に相続権を失います。

  • 故意に被相続人や相続人となる可能性のある人を殺害し、又は殺害しようとしたため、刑に処せられた人
  • 被相続人が殺害されたことを知っていたが、告発をせず、又は告訴しなかった人
  • 詐欺や強迫によって、被相続人が遺言を作成、撤回、取消し、変更をすることを妨げた人
  • 詐欺や強迫によって、被相続人に遺言を作成、撤回、取り消し、変更させた人
  • 被相続人の遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿した人

どの事由も相続に関する重大な背信的行為といえます。普通に生活をしている分には、これらの事由に該当することはまずありません。

5.遺言がある場合

冒頭にも書きましたが、遺言がある場合は、法定相続に関するの規定よりも遺言の内容が優先されます。この場合、法定相続分は、遺留分割合としての意味を持ちます。

5-1.遺留分について

遺言の内容は、遺言者が自由に決めることができます。これは、自分の財産の最後の処分方法は、その人の意思を最大限に尊重すべきだと考えられているからです。

しかし、遺言者の意思の尊重といっても「全財産を愛人に渡す」などといった遺言を書かれてしまっては、被相続人の財産を頼って生計を維持してきたような方(妻など)は困ってしまいます。

これを防ぐために、残された相続人が最低限の相続分を確保するために定められた制度が、遺留分という制度です。

そして、遺留分を持つ人の割合は、次のとおりです。

相続人 遺留分の合計 配偶者の遺留分 子供の遺留分 親の遺留分 兄弟姉妹の遺留分
配偶者のみ 1/2 1/2
配偶者と子 1/2 1/4 1/4
配偶者と親 1/2 1/3 1/6
配偶者と兄弟姉妹 1/2 1/2
子のみ 1/2 1/2
親のみ 1/3 1/3
兄弟姉妹のみ

遺留分の詳細は、次の記事が参考になります。

5-2.相続放棄をした人

相続放棄とは「初めから相続人とならなかったものとみなす」ことで、すべての財産の引き継ぎを放棄する手続きのことです。(民法939条)

相続放棄をした人は相続人とはなりません。

また、他の相続人の相続分は、相続放棄をした人を除いて計算されます。

5-3.包括受遺者

「包括受遺者」とは、遺言によって「包括遺贈」を受ける人のことです。

「包括遺贈」とは、相続財産を割合的に譲る旨を遺言に記載することです。たとえば、「財産の3分の1を遺贈する」といった遺言によって財産を譲り受けた人は、包括受遺者となります。 

包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を持ちますので、遺産分割協議にも参加することができます。(民法990条)

6.まとめ

以上、法定相続人と法定相続分について確認しました。

相続手続きを進めるための第1歩として、相続人になる人とその相続分は正確に把握しておきましょう。

当事務所では、相続手続きのサポートを行っておりますので、相続手続きに関してお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

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みな司法書士法人 川上直也
司法書士になる前は、特別養護老人ホームで介護の仕事をしていました。私は、実際にお年寄りが法律の問題でお悩みになっている姿を身近で見て、誰もが気軽に相談できる、心に寄り添う法律の専門家が必要だと感じるようになりました。こうした思いから司法書士になり、当事務所を立ち上げるに至ります。ご相談は、お気軽にどうぞ。