相続人に最低限保証された相続分がある?遺留分とは

相続人に最低限保証された相続分がある?遺留分とは

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みな司法書士法人 川上直也

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで介護の仕事をしていました。私は、実際にお年寄りが法律の問題でお悩みになっている姿を身近で見て、誰もが気軽に相談できる、心に寄り添う法律の専門家が必要だと感じるようになりました。こうした思いから司法書士になり、当事務所を立ち上げるに至ります。ご相談は、お気軽にどうぞ。

被相続人(亡くなった人)は、遺言によって自分の財産を自由に処分することができます。これは、自分の財産の最後の処分方法はその人の意思を最大限に尊重すべきとの考えからです。

しかし、あまりに自由すぎる遺言は残された相続人が困ってしまうことになりかねません。たとえば「すべての財産を愛人に譲る」といった遺言を書かれては、その被相続人に頼って生計を立てていた相続人は困ってしまうでしょう。

そうならないように、遺留分という制度によって残された相続人の最低限の相続分を確保しています。

ここでは、遺留分の権利を持つ人や、遺留分の具体的な計算方法などをご説明していきます。

1.遺言と遺留分の関係

相続は人の死亡によって開始します。そして、残された財産を①誰に、②どのように分けるのかの一つの目安として、法律は相続人の範囲と法定相続分というものを定めています。

通常多くの場合は、この規定を目安に遺産を分けていくことになりますが、被相続人(亡くなった人)が遺言を残していた場合には、法律の定めた法定相続分の規定よりも遺言の内容が優先します。

これは、自分の財産の最後の処分方法は、その人の意思を最大限に尊重すべきと考えられているからです。

しかし、被相続人の意思の尊重といっても「全財産を愛人に渡す」などといった遺言を書かれてしまっては、被相続人の財産を頼って生計を維持してきたような方(妻など)は困ってしまうでしょう。

そうならないように、残された相続人の最低限の相続分を確保するために定められた制度が遺留分という制度です。

相続人の範囲と順序について、詳しくはこちら↓で解説しています。

相続人となるのは誰か

相続人となるのは誰?順番は?

2017年6月8日

2.遺留分の権利を持つ人とその割合

遺留分について、法律は次のように規定しています。

民法1028条(遺留分の帰属及びその割合)

兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。

一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1

二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の2分の1

この法律を補足すると、遺留分の権利を持つ人は次のようになります。

  • 兄弟姉妹以外の相続人
  • 胎児も無事生まれたら、子としての遺留分を持つ
  • 子の代襲相続人も遺留分を持つ

そして遺留分の割合は

  • 直系尊属(親)のみが相続人の場合 被相続人の財産の3分の1
  • その他の相続人の場合 被相続人の財産の2分の1

となります。

3.遺留分の計算方法

遺留分の計算方法

遺留分の基礎となる財産の計算方法を確認していきましょう。

民法1029条(遺留分の算定)

遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。

(2項略)

民法1030条(遺留分の算定)

贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

この2つの法律によると、次の手順で遺留分の基礎となる財産を算定することができます。

  1. 相続開始時の財産(相続財産)を計算
  2. 1の相続財産に、相続開始前から1年以内にされた贈与を加算
    贈与とは、自分の財産を無償で相手に譲る契約のことをいいます。簡単にいえば「ただであげる」ということです。ここでいう贈与は、相続人に対してした贈与に限られません。遺贈(遺言によってする贈与)や死因贈与(自分の死亡を条件としてする贈与)もここに含まれます。
  3. 1.2に加えて、相続開始前から1年以上前にされた贈与で、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものを加算
    「当事者双方」が、損害を加えることを知っていたことが必要です。
  4. 上記1.2.3のプラスの財産から、借金などのマイナスの財産を引く

以上の手順で算出された財産が、遺留分の基礎となる財産となります。

3−1.遺留分計算の具体例

参考事例

  • 被相続人Aは1200万円の財産を残して死亡した。
  • Aは「愛人に全財産を譲る」旨の遺言を残している。
  • Aは、相続開始前1年以内に合計800万円の贈与をしている。
  • Aは、相続開始時に400万円の借金を残している。
  • 相続人は子Bと子Cのみ(法定相続分は2分の1ずつ)。

上記ケースの場合の子1人あたりの遺留分

  1. 1200万円+800万円ー400万円=1600万円(相続財産+1年以内の贈与を計算)
  2. 1600万円×2分の1(遺留分)×2分の1(法定相続分)=400万円(遺留分率を計算)

以上により、子1人あたりの遺留分は400万円となります。

4.遺留分減殺請求の時効期間

遺留分の時効期間

侵害された遺留分を請求することを「遺留分減殺請求」といいます。この遺留分減殺請求権には、次のように時効期間が定められています。

民法1042条(減殺請求権の期間の制限)

(遺留分)減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

この法律を見ると、遺留分減殺請求権は

  • 相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年
  • 相続開始の時から10年

この期間を経過したら時効によって消滅することが分かりますね。実際に遺留分減殺請求をお考えの方は、時効期間にご注意ください。

5.遺留分まとめ

遺留分について次の5点にまとめておきます。

  • 被相続人は、遺言によって自分の財産を自由に処分することができる
  • 遺留分とは、残された相続人の最低限の相続分を確保するために定められた制度
  • 遺留分の権利を持つ人は、兄弟姉妹以外の相続人
  • 遺留分の割合は、①直系尊属(親)のみが相続人の場合→被相続人の財産の3分の1、②その他の相続人の場合→被相続人の財産の2分の1
  • 遺留分減殺請求権は、①相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年、②相続開始の時から10年、いずれかの期間を経過すると時効によって消滅する

ここでは遺言と遺留分の関係や、遺留分の具体的な計算方法等を見てきましたがいかがだったでしょうか。

遺留分減殺請求をお考えの方は、特に時効期間に注意してください。

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