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未成年者が相続放棄をする方法とは

未成年者が相続放棄をする方法

相続人となる人に年齢制限はなく、未成年者も当然に相続人となります。もし被相続人に借金などのマイナスの財産が多くあれば、未成年者がこの借金を相続してしまうこともありえるでしょう。

こうした事態を防ぐために相続放棄という制度があるわけですが、未成年者の相続放棄には普通の相続放棄と異なるいくつかの注意点があります。

ここでは、未成年者が相続放棄をする方法についてご説明していきます。未成年者が相続放棄をする際の大切なポイントをご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

1.未成年者が相続放棄をするには

未成年者の相続放棄は、次の2つのケースに分けて考える必要があります。

  1. 未成年者と親が一緒に相続放棄をする場合
  2. 未成年者だけが相続放棄をする場合(親は相続放棄をしない)

以下、各ケースに分けてご説明していきます。

1−1.未成年者と親が一緒に相続放棄をする場合

たとえば、被相続人に借金があって相続放棄をする場合は、このケースに該当することになるでしょう。

このようなケースでは、未成年者の代わりに親が相続放棄の申述をすることになります。

代わりに申述をするといっても特に難しい手続きは必要なく、相続放棄申述書の書き方が少し変更されるだけです。下記を参考にしてください。

相続放棄申述書はこちらからダウンロードできます。(リンク先は家庭裁判所HPです)

相続放棄申述書
  1. 収入印紙は800円。連絡用郵便切手は各裁判所によって異なります。裁判所HPで確認しましょう。
  2. 収入印紙を貼る欄です。
  3. 申述先の家庭裁判所と申述年月日を記入します。
  4. ここには、親権者の氏名を記載します。「A(未成年者の氏名)の法定代理人B(親権者の氏名)」と記載しましょう。印鑑は親権者の認印を押してください。
  5. 添付した書類にチェックを入れます。通数も忘れずに記入しましょう。
  6. 未成年者をここに記入します。住所は住民票上の住所を記入しましょう。
  7. ここに親権者を記入します。
  8. 被相続人(亡くなった人)を記入します。相続放棄申述書
  9. 申述の理由は、あなたの事情をそのまま記入します。財産の種類は分かっているものを記入すればよいでしょう。
具体的な相続放棄の手順は、こちら↓で解説していますのでご確認ください。

相続放棄の手順

1−2.未成年者と親が一緒に相続放棄をしない場合

たとえば、親に相続財産を集中させるために未成年者に相続放棄をさせる場合は、このケースに該当するでしょう。

このような場合は、未成年者の利益を守るために特別代理人の選任が必要になります。親権者という立場を利用して、未成年者に不利益な相続手続きを防ぐための制度ですね。

なお、未成年者に相続放棄をさせる理由は問いません。未成年者の負担を減らすために相続放棄をさせようと考えていたとしても、特別代理人の選任は必要になります。

2.未成年者の相続放棄の期間は

未成年者の相続放棄の期間は、「親権者が未成年者のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月」となります。「親権者が知った時」から期間計算が始まることがポイントですね。

民法917条(相続の承認又は放棄をすべき期間)

相続人が未成年者又は成年被後見人であるときは、第915条第1項の期間(相続放棄の申述期間の起算日)は、その法定代理人が未成年者又は成年被後見人のために相続の開始があったことを知った時から起算する。

なお、通常の相続放棄の期間についてはこちら↓で解説していますので、ご確認ください。

相続放棄の3ヶ月

3.どのような時に未成年者が相続人になるのか

冒頭にも書きましたが、相続人となる人に年齢制限はありません。未成年者も当然に相続人となります。

では、未成年者が相続人となるのは、どのような時でしょうか。

未成年者が相続人となるケースで多いのは、

  1. 被相続人の年齢が比較的若い場合
  2. 代襲相続が発生している場合

の2点です。

1については特に説明も不要でしょう。問題は2のケースです。

3−1.代襲相続とは

代襲相続の制度について、法律は次のように規定しています。主に太字にした部分に注目してください。

民法887条(子及びその代襲者の相続権)

1.被相続人の子は、相続人となる。

2.被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

3.前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

これの具体例は次のようになります。

  1. 被相続人をA(平成28年に死亡)とします。
  2. Aの子BはAよりも先(平成20年)に亡くなっています。
  3. C・DはAの孫という事例です。

代襲相続の説明本来Aの相続人は子のBになるはずです。しかし、BはAよりも先に亡くなっています。こうなると、CとDが代襲してAの相続人となります。

代襲相続は、A(被相続人)とB(相続人となるべき子)の亡くなる順番に注意してください。「Aが亡くなる前に、Bが亡くなっている」という死亡の順序で代襲相続は発生します。

「Aが亡くなった後に、Bが亡くなった」という場合には、Cは、Aを相続したBをさらに相続するだけです。このようなケースについては代襲相続とはいいません。

この代襲相続が発生していると、未成年者が相続人となる可能性が高くなります。該当する人は、確認しておきましょう。

なお、代襲相続の詳しい説明はこちら↓でしていますので、ご確認ください。

孫が相続人になる場合とは、代襲相続の制度

4.未成年者の相続放棄まとめ

未成年者の相続放棄について、次の4点にまとめておきます。

  • 未成年者と親が一緒に相続放棄をする場合は、未成年者の代わりに親が相続放棄の申述をすることになる
  • 未成年者と親が一緒に相続放棄をしない場合は、未成年者の利益を守るために特別代理人の選任が必要になる
  • 未成年者の相続放棄の期間は、「親権者が未成年者のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月」となる
  • 代襲相続が発生していると、未成年者が相続人となる可能性が高くなる

以上見てきたように、未成年者の相続放棄は親権者の行動がポイントになります。

未成年者の明るい未来を守るためにも、親権者がしっかりと相続放棄の制度を把握しておきましょう。

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みな司法書士法人 川上直也
司法書士になる前は、特別養護老人ホームで介護の仕事をしていました。私は、実際にお年寄りが法律の問題でお悩みになっている姿を身近で見て、誰もが気軽に相談できる、心に寄り添う法律の専門家が必要だと感じるようになりました。こうした思いから司法書士になり、当事務所を立ち上げるに至ります。ご相談は、お気軽にどうぞ。