Aさんは、亡くなった父の長女です。亡き父が借金を繰り返すようになってしまい、亡くなる前の10年間は、ほとんど連絡をとっていない状況でした。
Aさんが亡き父の遺品の整理をしていると、消費者金融からの借用書が何通も見つかりました。Aさんは、相続放棄を決断され当事務所を訪れました。
1.ご相談の内容
亡き父に預貯金はほとんど残っておらず、借金の方が多い状態でした。単純に相続をするメリットは全く無く、Aさんの当初の意向通り、相続放棄を申述することになりました。
また、Aさんは、自分が相続放棄をすると、自分の子供へ相続権が移ってしまうのではないかと心配されていました。
法律では、「同順位の相続人全員が相続を放棄した後は、次順位の相続人に相続権が移る」と規定されています。したがって、Aさんの子供に相続権が移ることはありませんが、亡き父に兄弟姉妹がいれば、その方々へ相続権が移ります。
Aさんは、亡き父の兄弟姉妹と連絡をとれる状況にあったため、上記事実を伝えました。亡き父の兄弟姉妹はAさんの状況を理解され、Aさんの相続放棄手続き終了後は、自身らも相続放棄をすることを約束されました。
2.ご依頼の結果
当事務所にて、戸籍等の相続放棄に必要な書類を一通り揃えた後、相続放棄申述書を作成し、家庭裁判所へ提出しました。
その後は問題なく相続放棄の手続きを終え、Aさんは借金の支払い義務を免れることができました。
相続権の移った亡き父の兄弟姉妹は他県にお住まいだったため、当事務所にご依頼はいただいておりませんが、無事に相続放棄の手続きを終えられたとのことです。
3.ポイント
3−1.借金の支払い義務
相続とは、「亡くなった人のすべての財産を相続人が引き継ぐ」制度のことです。
この引き継がれる財産には、借金などのマイナスの財産も含まれます。そして、相続した借金は相続人自身の借金となり、引き続き支払っていかなければなりません。
相続放棄をすれば、このような借金の支払い義務を免れることができます。
このような相続放棄の基本的な知識は、こちら↓の記事が参考になりますのでご確認ください。
3−2.相続放棄をした後の注意点
相続放棄をした後にもいくつかの注意点があります。その一つが、「同順位の相続人全員が相続放棄をしたら、次順位の相続人へ相続権が移る」というものです。
Aさんのように、次順位の相続人の方と先に連絡をとっておくと、次の相続放棄がスムーズに進みます。
相続放棄をした後の注意点は、こちら↓の記事が参考になります。
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