相続開始後、賃貸物件からの賃料はどうなるのか

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みな司法書士法人 川上直也

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで介護の仕事をしていました。私は、実際にお年寄りが法律の問題でお悩みになっている姿を身近で見て、誰もが気軽に相談できる、心に寄り添う法律の専門家が必要だと感じるようになりました。こうした思いから司法書士になり、当事務所を立ち上げるに至ります。ご相談は、お気軽にどうぞ。

賃貸物件からの賃料は、相続する財産の対象となります。ただし、その賃料の分け方、いわゆる遺産分割をするにあたっては、法律上いくつかの決まりごとがありますので、ここでご説明していきます。

1.相続開始と遺産分割協議

遺産分割協議は、相続開始後すぐに終わるわけではありません。話し合いに数カ月かかる場合や、相続開始後数年たってから遺産分割協議を始めるケースも珍しくはありません。

遺産に賃貸マンションがあれば、この間にも賃料が発生しています。こうした場合に、相続財産である賃貸マンションからの賃料や、株式の配当金など、いわゆる「遺産からの収益物」の扱いはどうしたらよいのでしょうか。

2.遺産からの収益物

遺産からの収益物

ここでいう「遺産」とは、賃貸マンションや株式そのものであり、その賃料や配当金を「遺産からの収益物」といいます。

裁判例は、「遺産」は遺産分割の対象となるが「遺産からの収益物」は遺産分割の対象とはならない、と判断しています。

少し分かりにくいと思いますので具体例を一つ挙げます。たとえば、賃貸マンション(遺産)をAが相続したとします。このマンションの所有権は、Aが相続したので当然にAのもの。しかし、このマンションの相続開始から遺産分割までの間に発生した賃料(遺産からの収益物)は、当然にAのものとはならず、各共同相続人で分けられるということです。

つまり、賃貸マンションそのものは遺産分割の対象となり、そのマンションの賃料は遺産分割の対象とはならないということですね。

なお、遺産分割協議終了後からの賃料は、マンションの所有権を取得したAのものとなります。

最判 平成17年9月8日

相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し,その帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けない。

3.現実の遺産分割協議での取り扱い

前述したとおり、法律的には、遺産からの収益物は遺産分割の対象とはなりません。しかし、現実の遺産分割協議では、相続人全員の同意があれば、遺産からの収益物を含めて分割の手続きをすることは可能となっています。

苦労して遺産分割協議を終えた後に、また遺産からの収益物だけ分割の手続きをしなければならないということは非常に手間がかかりますので、こういう取り扱いにしたほうが合理的といえますね。

4.遺産からの収益物まとめ

遺産からの収益物について次の3点にまとめておきます。

  • 「遺産」とは、賃貸マンションや株式そのものであり、その賃料や配当金を「遺産からの収益物」という
  • 裁判例は、「遺産」は遺産分割の対象となるが「遺産からの収益物」は遺産分割の対象とはならない、と判断している
  • 現実の遺産分割協議では、相続人全員の同意があれば、遺産からの収益物を含めて分割の手続きをすることは可能

ここでは、遺産からの収益物について見てきましたが、いかがだったでしょうか。

ここでの記事が、あなたの参考になれば幸いです。

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