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相続手続きの際には、必ず遺産分割協議が必要なのか?

テーブルとパソコンとコーヒー

相続手続きの最重要ポイントといえば、遺産分割協議でしょう。当サイトにおいても、遺産分割協議に関する多くの記事を掲載しています。

とはいえ、相続人全員で遺産分割協議をして、遺産分割協議書を作成して、相続人全員の実印を捺印して、印鑑証明書を付けて…となんだかすごくめんどくさい。できることなら遺産分割協議を省略したい…と考える方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、一部の相続手続きでは遺産分割協議をせずに手続きを進めることができます。

ここでは、遺産分割協議が不要になるケースと注意点について、ご紹介していきます。

1.法定相続分か遺言によって相続登記を申請する場合は、遺産分割協議は不要

相続登記とは、「不動産の名義変更」のことです。こちら↓に詳しく記載していますのでご確認ください。

小さな家

相続登記するには、不動産を相続する人を決める必要があります。この不動産を相続する人を決める方法には、次の3通りの方法があります。

  1. 法定相続分で決める
  2. 遺産分割協議で決める
  3. 遺言で決める

この内、①か③を選択した場合は、遺産分割協議は不要になります。

被相続人(亡くなった人)が遺言を残されているケースは比較的少ないと思いますので、ここでは法定相続分によって相続登記を申請する方法を解説していきます。

遺言によって相続登記を申請する方法はこちら↓に詳しく記載していますのでご確認ください。

遺言と相続登記

2.法定相続分による相続登記

前述したとおり、法定相続分による相続登記を申請する場合には、遺産分割協議をする必要がありません。

この「法定相続分」とは、法律によって定められた相続分のことです。各相続人の法定相続分は、次の表のとおりになります。

相続人の順番

法定相続分で相続登記を申請する際の具体例をみていきましょう。

被相続人Aの相続関係図 (1)

この図では

  • 被相続人:A
  • 相続人:配偶者B(相続分2分の1)
  • 相続人:子C・D(相続分4分の1)

となっています。法定相続分による相続登記とは、この相続分のとおりに相続登記を申請することです。登記申請書は次のようになります。

登記申請書

登記の目的 所有権移転

原  因 平成〇年〇月〇日 相続

相 続 人 (被相続人 A )

静岡市葵区◯◯番の〇 持分4分の2 B

静岡市葵区◯◯番の〇 持分4分の1 C

静岡市葵区◯◯番の〇 持分4分の1 D

添付書類  登記原因証明情報 住所証明情報 評価証明書

送付の方法により登記識別情報の交付を希望します

送付先の区分 申請人の住所

平成〇年〇〇月〇〇日申請 静岡地方法務局 御中

課税価格 建 物 金1000万円

登録免許税 建 物 金4万円

不動産の表示

所 在 静岡市…

地 番 〇〇番の〇

地 目 宅地

地 積 〇〇㎡

ポイントは、各相続人の持分を法定相続分のとおりに記載することです。なお、添付書類に遺産分割協議書は不要です。

その他、相続登記必要書類と申請書の具体的な解説はこちら↓の記事に掲載しています。

本とペン

3.法定相続分による相続登記を申請する際に気を付けたいこと

法定相続分による相続登記を申請する際に気を付けたいこと

法定相続分による相続登記では、不動産の持分が細分化されてしまうことに注意しましょう。

遺産分割協議を経ずに相続登記をする場合は、不動産を単独で所有することはできません(相続人が一人だけの場合は除きます)。不動産の管理は、共有者が多いほど意見の調整等が必要になります。

また、不動産の共有者が亡くなった場合は、その共有者ごとに相続が発生します。共有者の相続が発生してしまうと、不動産の持分がさらに細分化されていきます。

不動産の持分が細分化されていくほど共有者の人数が多くなるため、管理は非常に複雑になっていくでしょう。

4.預貯金の相続手続きと遺産分割協議の必要性

預貯金の相続手続きにおいて遺産分割協議書を必要とするかは、各金融機関が判断することになります。

預貯金の額が少額なら、代表相続人の署名・捺印のみでもよいという金融機関もありますが、その判断は各金融機関によって異なります。したがって、まずは、相続手続きを進める先の金融機関に必要書類を確認するのがよいでしょう。

なお、最近ではほとんどの金融機関で遺産分割協議書の提出を求める傾向にあります。

金融機関としては、預貯金を相続しない人に誤って払い戻しをしてしまうことを防ぐために、遺産分割協議書の提出を求めるという事情があります。

5.相続人が一人の場合は、遺産分割協議は不要

あたりまえかもしれませんが、相続人が一人しかいない場合は遺産分割協議をする余地はありません。

6.結局、遺産分割協議は必要なのか

結論からいえば、遺産分割協議をしたほうがよいでしょう。遺産分割協議は、全相続人で合意をした内容を正確に記録に残すため、後日の争いを防ぐ役割も持ちます。

また、不動産は管理の都合上、特別な事情がない限り複数人で共有することはおすすめしません。できれば遺産分割協議で、誰がどの不動産を相続するのか決定をしたほうがよいでしょう。

7.相続手続きと遺産分割協議まとめ

以上みてきた、遺産分割協議が不要になるケースと注意点について、ポイントをまとめておきます。

POINT

★遺産分割協議が不要になるケース

  • 遺言による相続登記
  • 法定相続分による相続登記
  • 相続人が一人しかいない場合
  • 預貯金が少額しかなく、金融機関の承諾がある場合(判断は各金融機関により異なる)

 ★遺産分割協議をしない場合の注意点

  • 遺産の分け方を記録したものが無くなる
  • 不動産の持分が細分化され、管理が複雑になる

遺産分割協議をせずに相続手続きを進める場合は、上記のような注意点があることを知ったうえで手続きを進めるようにしてください。

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ABOUT US
みな司法書士法人 川上直也
司法書士になる前は、特別養護老人ホームで介護の仕事をしていました。私は、実際にお年寄りが法律の問題でお悩みになっている姿を身近で見て、誰もが気軽に相談できる、心に寄り添う法律の専門家が必要だと感じるようになりました。こうした思いから司法書士になり、当事務所を立ち上げるに至ります。ご相談は、お気軽にどうぞ。