相続放棄をするにあたって、どの専門家に相談したらよいのか気になったことはありませんか?各専門家の特徴を把握しておけば、安心して手続きを依頼することができるでしょう。
ここでは、相続放棄に関わる専門家についてご説明していきます。
1.司法書士と相続放棄
司法書士は他人の依頼を受けて、裁判所に提出する書類の作成をすることができます。
司法書士法 第3条(業務)
1.司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一、二、三(略)
四 裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続(不動産登記法(平成16年法律第123号)第6章第2節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。第八号において同じ。)において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。
五 前各号の事務について相談に応ずること。
以降(略)
つまり、「司法書士は、あなたに代わって相続放棄の申述書類を作成して、裁判所へ提出することができますよ」ということです。
司法書士が具体的にできることは、書類を作成するだけではなくそれに付随する業務も含まれます。たとえば、相続放棄に必要な戸籍を入手したり相続放棄についてのアドバイスをしたり…などです。
このようにして司法書士は、あなたが相続放棄を終えるまでの手続きを一貫してサポートすることができます。
司法書士と相続放棄を進めた際の手続きの流れは、こちら↓をご覧ください。
2.行政書士と相続放棄
行政書士は、裁判所へ提出する書類の作成をすることはできません。したがって、他人の相続放棄申述書の作成をすることは違法です。
3.弁護士と司法書士の違い
弁護士は、あなたの代理人となって相続放棄の申述をすることができます。
司法書士と弁護士の主な違いは、訴訟において依頼人の「代理人」になれるかどうかです。弁護士は代理人になれますが、司法書士はなれません(認定司法書士という制度もありますがここでは触れません)。
この違いは、主に争いのある裁判手続きにおいて顕著に現れます。たとえばあなたが、裁判を起こし、だれかに損害賠償請求をした場合を考えてみてください。
裁判は一日だけでは終わりません。争っている原告と被告は、お互いの主張を何日かの期日に分けて、裁判官へ訴えかけます。この主張を書いた紙を訴状や答弁書などと呼びます。
司法書士は、あなたのために訴状や答弁書を書くことができますが、代理人となって出廷することはできません。裁判の期日にはあなた自身が、出廷する必要があります。
一方で弁護士は、あなたの代理人となって裁判所へ出廷することができます。あなた自身が裁判所へ向かう必要はありません。
当事務所は司法書士事務所ですが、もしあなたが誰かと法律上の争い事を抱えていて、訴訟を起こしたいと考えていた場合は、弁護士へ依頼されることをおすすめします。訴訟を有利に進めるためには、代理人となってあなたの代わりに動いてくれる弁護士がいたほうが、やはり有利だからです。また、弁護士は常に争いごとの渦中で経験を積んでいるので、相手方との交渉も得意としています。
3−1.弁護士と相続放棄と司法書士
では、相続放棄も弁護士に依頼したほうがよいのかというと、必ずしもそうとはいいきれません。なぜなら、相続放棄は争いのある裁判手続きではないからです。
相続放棄は家庭裁判所に申述をする必要がありますが、この「申述」とは、相続放棄書類を裁判所へ提出する行為を指します。相手と争うわけではないので交渉をする余地がなく、また原則としてあなた自身が裁判所へ出廷する必要もありません。
つまり、相続放棄の手続きというのは、通常の訴訟のように自分の権利を主張し相手に勝つためにするものではなく、事実関係をきちんと把握し、書類を正確に作成し、それを裁判所へ提出する行為、ということができます。司法書士は、普段から登記のために正確な書類を作成し、法務局へ提出するという経験を積んでいるため、こういった作業が非常に得意です。
また、一般的に弁護士よりも司法書士のほうが、報酬が安くなる点もポイントの一つ。だいたいの相場として、弁護士報酬は約10万円前後、司法書士の報酬は約5万円前後となっていることが多いようです。
こういった点を踏まえて、あなたの信頼のできる専門家を選んでみてください。
4.相続放棄に関わる専門家まとめ
ここでは、相続放棄に関わる専門家についてみてきましたが、いかがだったでしょうか。
どの専門家と手続きを進めるにしても、大切なのはあなたの相続放棄がきちんと完了することです。
ここでの記事が、あなたの参考になれば幸いです。
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