遺産分割協議とは、被相続人(亡くなった方)の遺産を相続人の全員でどのように分けるのか協議をすること。
法律的にも、感情的にも、相続手続きの最重要となるポイントです。
ここでは、遺産分割協議の基本的な知識と進め方をご説明していきます。相続手続きを進めるための役に立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
遺産分割協議の進め方
遺産分割協議は、次の手順で進めてくことをおすすめします。
- 相続人の把握
- 遺産の把握
- 遺産分割協議の開催
- 遺産分割協議書の作成
次項以下で、各手順の注意点を見ていきます。
1.相続人の把握-協議は相続人の全員で
遺産分割協議は、相続人全員が参加し、全員で合意することが必要です。遺産分割協議に一人でも参加していない相続人がいれば、その遺産分割協議は無効となってしまいますので、戸籍を正確に読み解いて相続人の範囲に漏れがないようにしましょう。
相続人の範囲については、こちら↓で解説しています。
2.遺産の把握-遺産の範囲とは
「遺産」の分割協議ですから、遺産の範囲を正確に把握しましょう。
遺産とは、被相続人が死亡当時に有していた、預貯金、不動産、自動車、株式、負債などの一切の財産のことをいいます。これらすべての財産を、相続人間でどのように分けるのか、遺産分割協議で決めていくことになります。
遺産の範囲については、こちら↓で解説しています。
3.遺産はどうやって分けるのか
遺産の分け方について法律上の決まりはありません。相続人全員で合意ができれば、法定相続分を無視した遺産の分け方も可能となります。現実には、様々な事情を考慮して遺産分割協議が行われています。
民法906条(遺産の分割の基準)
遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。
ただし、全くの自由といってもどうすればよいのか困ってしまうと思いますので、分け方について、一般的な4つの方法をご紹介します。
3−1.現物分割
相続財産1個ずつについて、取得する人を決めていく方法です。
例えば、土地はAさん、建物はBさん、車はCさん、預貯金はDさん、というように決めていきます。
メリットは単純に分けやすいこと。
デメリットは、遺産それぞれの価額は異なるため平等な分割を実現するという点で難しいことです。
3−2.換価分割
土地や不動産などの遺産をすべて換金した後、その換金された金額を各相続人で分配していく方法です。
メリットは、すべての財産を換金できれば平等な遺産分割がしやすいこと。
デメリットは、売りたくない遺産(自宅など)がある場合は、この方法はとりにくいことです。
3−3.代償分割
相続人の一人がすべての財産を相続し、その相続人が他の相続人に対して代償となる金銭などを提供する方法です。例えば、土地と建物をAさんが取得し、その代償として、AさんはBさんに1000万円を支払う、というように決めていきます。
メリットは、平等な分割を実現しやすく、換価しにくい遺産があっても大丈夫なこと。
デメリットは、代償金を支払う人の資力が問題となることです。
3−4.共有名義で取得
不動産などを共有名義のまま残しておく方法です。この方法をとった場合、一個の不動産を複数人で所有することになります。
メリットは、分割しにくい不動産をなんとかできること。
デメリットは、後に不動産を売却するときに共有者全員の合意が必要になること。共有者の1人が死亡してさらに相続していった場合、共有者がどんどん増えてしまうこと、などです。不動産の管理は共有者が増えるほど難しくなっていきますので、時間が経つほど受ける制約が増えてしまうイメージです。
4.遺産分割協議書の作成
遺産の分割方法が決まったら、遺産分割協議書を作成します。
作成方法については、こちら↓の記事を参考にしてください。
補足:遺産分割協議で大切なことは…
冒頭にも書きましたが、遺産分割協議は相続手続きの中でもっとも重要なポイントです。相続する遺産の種類によっては平等な分割をすることが難しく、つい感情的になってしまったり、法律的な論点も数多く含むためです。相続手続きの中でもっとも争いの起きやすいポイントともいえます。
遺産は自由に分けていいといっても、各相続人にはそれぞれに権利があり、また事情もあるわけですから、お互いに相手のことを思いやった協議をしていくことが争いを生まないコツといえます。
遺産分割協議はデリケートな要素を数多く含んだ手続きですので、ご自身らで行うことが難しい場合は、専門家を間に入れることをおすすめします。
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