「大相続時代」という言葉が、昨今のメディアを賑わせています。日本では高齢化が進み、それに伴い相続の件数も増加していきますから、この言葉は的を射ているといえるでしょう。
そして、「大相続時代」と関連して、「生前の相続対策が必要だ」といった記事も多く目にします。平成27年度の相続税法の改正で相続税の納税義務者が増加し、また、裁判所の司法統計によると、相続に関する調停件数等も増加の一途をたどっていますから、生前から相続に関する知識をきちんと持ち、それに伴う対策をしていくことは大切なことといえます。
そこで、ここでは、生前からする相続の準備について基本的な内容をご説明していきます。
1.はじめに確認することは、相続税の納付義務の有無
生前からする相続の準備には、大きく分けて次の4点があります。
- 相続税の対策
- 法定相続人の確認
- 「争族」にしないための対策
- 相続財産の整理
この中でもっとも大切なのは、①の相続税の対策です。なぜなら、①の相続税の対策をしていく中で、②の法定相続人を確認し、③の「争族」にしないために遺言を書いたり、④の相続財産の整理が必要になるからです。また、相続税は高額な場合が多いため、きちんと納税額を把握して、そのための資金を用意しておく必要もあります。
したがって、相続の準備をするためには、まずはじめに「自分に相続税の納付義務があるのか」を確認していくことになります。相続税の納付義務があるのなら、相続税の対策をメインにして相続の準備を進めていき、逆に納付義務がなければ、その他の相続対策を各別に進めていくことになります。
2.相続税を納める必要がある人とは
相続税はだれにでもかかる税金ではありません。国税庁の調査によると、平成28年度、全体の92%の人は相続税を納める必要がなかったとの統計がでています。
参考:国税庁平成28年度相続税の申告状況
なぜこのような結果になるのかというと、相続税には「基礎控除」とよばれる多額の控除があるからです。相続をする財産がこの基礎控除額以下だった場合は、相続税を申告する必要も、納付する必要もありません。
相続税の基礎控除額の計算は次のとおりです(平成27年度~)
★3000万円+600万円×法定相続人の人数
たとえば、相続人が子供3人だったとすると
3000万円+1800万円=4800万円の基礎控除となります。
相続財産の総額がこの基礎控除額以下だった場合は、相続税を申告する必要はありません。
なお、相続財産の評価額は、次の方法でざっくりと算出してみてください。
- 預貯金→現在の額
- 不動産→固定資産納税通知書に記載されている「評価額」
- 有価証券→現在の評価
★この計算で、相続財産の評価額が相続税の基礎控除額を「超える」もしくは、「超えそう」だった場合は、相続税の対策をとられることをおすすめします。相続税の対策は、税理士の専門分野となりますので、こちら↓の記事を参考に税理士を選んで対策をすすめてみてください。
★上記以外の人、つまり、相続税を納める必要のなさそうな人は、相続税の対策をする必要はありません。こちら↓の記事を参考に、その他の相続に必要な準備をすすめてみてください。
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