遺言と異なる遺産分割をする方法

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みな司法書士法人 川上直也

司法書士になる前は、特別養護老人ホームで介護の仕事をしていました。私は、実際にお年寄りが法律の問題でお悩みになっている姿を身近で見て、誰もが気軽に相談できる、心に寄り添う法律の専門家が必要だと感じるようになりました。こうした思いから司法書士になり、当事務所を立ち上げるに至ります。ご相談は、お気軽にどうぞ。

被相続人(亡くなった人)が遺言を残していた場合には、必ず遺言の内容にしたがわなければならないのでしょうか。たとえば、遺言によって利益を受ける相続人が同意をしていた場合でも、遺言と異なる遺産分割はできないのでしょうか。

結論からいってしまえば、一定の条件にあてはまれば、遺言と異なる遺産分割をすることはできます。

ここでは、遺言と異なる遺産分割をする方法についてご説明していきます。

遺言の基本的な知識に関しては、こちら↓の記事を参考にしてください。

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遺言には3つの種類があります

2017年7月9日

1.遺言とは

相続は人の死亡によって開始します。そして、残された財産を、①誰に、②どのように分けるのかの一つの目安として、法律は相続人の範囲と法定相続分というものを定めています。

通常多くの場合は、この法律を目安に遺産分割協議を進めていくことになりますが、被相続人(亡くなった人)が遺言を残していた場合には、法律の定めた規定よりも遺言の内容が優先します。

これは、自分の財産の最後の処分方法は、その人の意思を最大限に尊重すべきと考えられているからですね。

2.遺言の内容と異なる遺産分割

では、遺言がある場合は必ず遺言の内容にしたがうしかないのでしょうか。

これについて、①遺言執行者がいる場合、②遺言執行者がいない場合、③遺言によって遺言と異なる遺産分割を禁じている場合、④すでに遺言の内容にしたがった遺産分割を終えた場合、の4点に分けてご説明していきます。

2−1.遺言執行者がいない場合

遺言があっても相続人全員(遺贈があれば受遺者を含む)の同意があれば、遺言と異なる遺産分割をすることができます。

たとえば、「不動産は妻に、預貯金は長男に、株式は次男に」とした遺言があった場合、相続人全員の同意があれば、「不動産は長男に、預貯金は次男に、株式は妻に」とする遺産分割をすることができます。

2−2.遺言執行者がいる場合

遺言執行者がいる場合は、原則として、遺言と異なる遺産分割をすることはできません。ただし、遺言執行者の同意を得ればできる可能性があります。

なぜなら遺言執行者の仕事内容は、被相続人の遺言の内容を実現させることだからです。遺言執行者がいるにもかかわらず一部の相続人が遺言に反して遺産の処分をした場合、その行為を無効とした裁判例があります。

いっぽうで、遺言執行者の同意を得て、相続人全員の同意のもとに遺言と異なる遺産分割をした場合は、有効としてよいのではないかという考えもあります。

いずれにしても法律的に難しい論点になりますので、「遺言執行者がいる場合は、原則としてできない」と覚えておけば十分でしょう。

民法第1012条(遺言執行者の権利義務)

1.遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

2.(略)

民法第1013条 (遺言の執行の妨害行為の禁止)

遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。

2−3.被相続人が遺言で遺言と異なる遺産分割を禁じている場合

遺言と異なる遺産分割協議を禁止

被相続人は、遺言で、遺言と異なる遺産分割を禁止させることできます。

民法第908条(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)

被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

遺言にこの条項が入っていた場合は、遺言と異なる遺産分割をすることはできません。

2−4.すでに遺言の内容にしたがった分割をした後は

すでに遺言の内容にしたがった分割をした後に新たに分割をした場合には、新たな交換・贈与とみなされて贈与税などの税金が課せられてしまう可能性があります。

この場合は、受遺者である相続人が遺贈を放棄したうえで遺産分割を行うようにしましょう。

国税庁タックスアンサーより

No.4176 遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合の相続税と贈与税

特定の相続人に全部の遺産を与える旨の遺言書がある場合に、相続人全員で遺言書の内容と異なった遺産分割をしたときには、受遺者である相続人が遺贈を事実上放棄し、共同相続人間で遺産分割が行われたとみるのが相当です。したがって、各人の相続税の課税価格は、相続人全員で行われた分割協議の内容によることとなります。

なお、受遺者である相続人から他の相続人に対して、贈与があったものとして贈与税が課されることにはなりません。

3.遺言と異なる遺産分割まとめ

遺言と異なる遺産分割について、次の4点にまとめておきます。

  • 遺言執行者がいない場合、相続人全員(遺贈があれば受遺者を含む)の同意があれば、遺言と異なる遺産分割をすることができる
  • 遺言執行者がいる場合、遺言と異なった遺産分割をすることは原則としてできない。ただし、遺言執行者の同意を得ればできる可能性がある
  • 被相続人が遺言で遺言と異なる遺産分割を禁じている場合は、遺言と異なる遺産分割をすることはできない
  • すでに遺言の内容にしたがった分割をしたあとに、遺言と異なる遺産分割をした場合は、新たな交換・贈与とみなされて贈与税などの税金が課せられてしまう可能性がある

ここでは、遺言と異なる遺産分割について見てきましたが、いかがだったでしょうか。

いくつかの事例は法律的に難しい論点を含みますので、お困りの方はお近くの司法書士にご相談ください。

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