たまに、成年後見制度を利用されている方の相続人から、「本人死亡後の相続手続きはどうなるのですか」という質問を受けることがあります。
被後見人である本人の財産は後見人が管理していますので、「この管理はいつまで続くのか」、「相続手続きは適切にとってもらえるのか」など、ご不安に思われての質問なのでしょう。
もし、あなたもこのような疑問をお持ちでしたら、特に心配する必要はありません。成年後見制度には、本人死亡後の手続きがきちんと規定されており、本人の遺産は最終的に相続人の手に渡るようになっています。
ここでは、成年後見制度を利用していた方の相続手続きについてご説明していきます。
成年後見制度は本人の死亡により終了する
成年後見制度は、本人の死亡により終了します。そして、相続手続きは次のような流れにより進んで行きます。
- 本人が死亡したことを家庭裁判所に報告、終了の登記を申請する
- 後見制度利用中の管理の計算をする
- 相続人へ財産を引き渡す
次項以下で詳しくみていきましょう。
① 家庭裁判所への報告と後見終了の登記
後見人は、本人が死亡した事実を速やかに家庭裁判所へ報告し、法務局へ後見終了の登記を申請します。
② 後見制度利用中の管理の計算
後見人は、本人の死亡後2ヶ月以内に、後見制度利用中の管理の計算をし、家庭裁判所へ報告します。
この管理の計算とは、
- 後見制度利用中の収支報告
- 現在の財産額の確定
の2点となります。
民法第870条(後見の計算)
後見人の任務が終了したときは、後見人又はその相続人は、二箇月以内にその管理の計算(以下「後見の計算」という。)をしなければならない。ただし、この期間は、家庭裁判所において伸長することができる。
③ 相続人へ財産を引き渡す
後見人の管理の計算が完了した後は、相続人代表者へ財産を引き渡し、後見人としての業務は終了します。
なお、このとき後見人は、相続人同士の争いに巻き込まれることを防ぐため、代表者に財産を引き渡すことについての同意書を全相続人からいただくことがあります。
まとめ
以上が、成年後見制度を利用されていた方の相続手続きの流れになります。
財産関係が複雑だった場合は、管理の計算に少し時間がかかってしまうこともありますが、本人の遺産は最終的に相続人の手に渡るようになっていますので、特に心配する必要もないでしょう。
ここでの記事が、あなたの参考になれば幸いです。
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