最近では、成年後見の申し立てをする際に、「親族を後見人につけたい」といったご相談が増えてきました。
「確実に親族を後見人に選任する」といった方法は、残念ながらありませんが、本人の置かれた状況によっては、親族後見人が選任される可能生は高くなりますので、ここにまとめておきます。
成年後見制度は、大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類に分かれます。このうち「任意後見制度」は、自分の判断能力がしっかりしているうちに、後見人となってほしい人とあらかじめ契約をしておくことができます。
したがって、この契約で任意後見人に親族を指定しておけば、ほぼ確実に親族を任意後見人につけることができます。
法定後見と任意後見の違いは、こちら↓の記事をご覧ください。
1.親族後見人が選任されやすいケース
成年後見人の選任は、最終的には裁判所が決定をします。そのため、確実に親族を後見人に選任してもらう方法というものはありません。
ただし、申立て時に以下のような事情があれば、親族後見人が選任される可能性は高くなります。
- 申立て時に親族後見人を推薦している
- 後見事務において法的な問題点がほとんどない
- 本人の財産が少ない
- 親族間の対立がない
2.親族後見人の選任は減少傾向にある
裁判所の統計によると、親族後見人の選任は年々減少傾向にあります。親族後見人による不正事件が後を絶たないことから、裁判所は親族後見人を避けてしまう傾向にあるようです。
平成28年度に申し立てられた成年後見事件では、
- 親族後見人の選任は、約28.9%(前年は約29.9%)
- 専門職後見人の選任は、約71.9%(前年は約70.1%)
となっています。
したがって、前述した「親族後見人が選任されやすいケース」に該当した場合でも、確実に親族後見人が選任される保証はないことに留意してください。
3.後見人になれない人は
次のような事情にあたる人は、法律で後見人になれないと規定されています。
- 未成年者
- 家庭裁判所で解任された法定代理人、保佐人、補助人
- 破産者
- 本人に対して訴訟をしている人、その配偶者、その直系血族
- 行方の知れない者
民法第847条(後見人の欠格事由)
次に掲げる者は、後見人となることができない。
一 未成年者
二 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
三 破産者
四 被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
五 行方の知れない者
4.まとめ
ここでは、親族後見人の選任についてみてきましたが、いかがだったでしょうか。
もし、まだ本人の判断能力が衰える前なら、任意後見制度を利用すれば、ほぼ確実に親族が後見人となれることも覚えておきましょう。
任意後見制度については、こちら↓の記事でご説明しています。
ここでの記事が、あなたの参考になれば幸いです。