ここでは、遺言の文例をご紹介します。ご自身で遺言を作成する際の参考にしてください。
ここに掲載されている文例は、あくまでも一例です。遺言者自身の遺言に対するご希望、推定相続人や受遺者の状況等により、最適な遺言内容は異なります。
ここに掲載した文例はあくまでも参考程度にとどめ、場合によっては、司法書士等の専門家に遺言の内容を相談をされることをおすすめします。
目次
- 1・遺言の種類
- 2.遺言文例の原則
- 3.遺言の文例50例
- 3-1.土地を相続させる遺言
- 3-2.建物を相続させる遺言
- 3-3.区分建物(マンション)を相続させる遺言
- 3-4.アパート等の賃貸不動産を相続させる遺言
- 3-5.未登記の建物を相続させる遺言
- 3-6.不動産を複数人に持分割合で相続させる遺言
- 3-7.不動産の共有持分を相続させる遺言
- 3-8.甲土地は妻に、乙土地は長男に相続させる遺言
- 3-9.土地の賃借権を相続させる遺言
- 3-10.預貯金を相続させる遺言
- 3-11.預貯金は妻に、不動産は長男に相続させる遺言
- 3-12.信用金庫の出資金を相続させる遺言
- 3-13.国債を相続させる遺言
- 3-14.自動車を相続させる遺言
- 3-15.ゴルフ会員権を相続させる遺言
- 3-16.配偶者居住権を設定する遺言
- 3-17.将来取得予定の財産を相続させる遺言
- 3-18.すべての財産を相続させる旨の遺言
- 3-19.すべての不動産を相続させる旨の遺言
- 3-20.すべての不動産は妻に、すべての預貯金は長女に相続させる旨の遺言
- 3-21.法定相続分と異なる割合を定めて相続させる遺言
- 3-22.相続人がABCでAとBのみに割合を定めて相続させる遺言
- 3-23.代償分割を指定する遺言
- 3-24.土地を遺贈する遺言
- 3-25.建物を遺贈する遺言
- 3-26.区分建物(マンション)を遺贈する遺言
- 3-27.未登記建物を遺贈する遺言
- 3-28.すべての財産を遺贈する遺言
- 3-29.妻に預貯金を相続させて、相続人以外の人に不動産を遺贈する遺言
- 3-30.停止条件を定めて遺贈する遺言
- 3-31.解除条件を定めて遺贈する遺言
- 3-32.始期を定めて遺贈する遺言
- 3-33.慈善団体等に一部の財産を除いて寄付をする遺言
- 3-34.慈善団体等にすべての財産を遺贈する遺言
- 3-35.妻の扶養を負担として相続させる負担付遺言
- 3-36.障がいのある長男の扶養を負担として相続させる負担付遺言
- 3-37.子を認知する遺言
- 3-38.祭祀承継者の指定をする遺言
- 3-39.長男を遺言執行者として指定する遺言
- 3-40.司法書士を遺言執行者として指定する遺言
- 3-41.遺言執行者を複数人指定する場合
- 3-42.相続人が遺言者より先に死亡した場合に、その代襲相続人に相続させる予備的遺言
- 3-43.子供のいない夫婦がそれぞれの配偶者に全財産を相続させる旨の遺言と、当該配偶者が先に死亡した場合の予備的遺言
- 3-44.以前に作成した遺言を撤回する遺言
- 3-45.以前に作成した遺言の全部を撤回し、新たにする遺言
- 3-46.以前に作成した遺言の一部を撤回し、新たにする遺言
- 3-47.推定相続人を廃除する遺言
- 3-48.推定相続人の廃除を取り消す遺言
- 3-49.遺産分割を禁止する遺言
- 3-50.遺産分割を禁止するが、特定の事実到来時は分割可能とする遺言
1・遺言の種類
1-1.自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言者が全文を自書する遺言のことです。基本的に紙とペンがあれば誰にでも簡単に作成することができます。ただし、法律上厳格な形式が定められていて、この形式からはずれた遺言は無効となってしまう点には注意が必要です。
自筆証書遺言の詳しい内容は、次の記事が参考になります。
1-2.公正証書遺言
公正証書遺言とは、法律の専門家である公証人の関与のもと作成する遺言のことです。遺言の種類の中では、もっとも確実性のある遺言といえます。
自筆証書遺言の詳しい内容は、次の記事が参考になります。
2.遺言文例の原則
遺言を書く際の単純な原則は、「どの財産」を「誰に相続させるか」を、誰が見ても誤解のないよう正確に記載することです。
また、遺言の内容を実現するために、できる限り遺言執行者を指定しておきましょう。遺言執行者は、①その遺言で財産を取得する人、②司法書士等の専門家、のどちらかを指定すればよいでしょう。
2-1.「どの財産」とは
財産の特定に公的な書類がある場合は、そのとおりに記載しましょう。一例は次のとおりです。
- 不動産(登記事項証明書のとおりに記載する)
土地:所在・地番・地目・地籍
建物:所在・家屋場号・種類・構造・床面積 - 預貯金(通帳のとおりに記載する)
金融機関名・支店・口座種別・口座番号 - 自動車(自動車検査証のとおりに記載する)
登録番号、種別、車名、型式、車台番号
2-2.「誰に相続させるか」とは
「誰に相続させるか」は、遺言者との関係性によって記載方法が異なります。一例は、次のとおりです。
- 相続人の場合は、その人の氏名、遺言者との関係性、生年月日
- 相続人以外の場合は、その人の氏名、住所、生年月日
- 法人の場合は、その法人の名称・本店所在地を記載
3.遺言の文例50例
3-1.土地を相続させる遺言
3-2.建物を相続させる遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の建物を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
所 在 静岡市葵区…123番地
家屋番号 1番23
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床 面 積 1階50.00平方メートル、2階50.00平方メートル
コメント 登記事項証明書のとおりに記載しましょう。
3-3.区分建物(マンション)を相続させる遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の区分建物及び敷地権を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
一棟の建物の表示
所 在 静岡市葵区…123番地
建物の名称 ○○
区分建物(専有)
専有部分の建物の表示
地番区域・家屋番号 1番23の101
建物の名称 1234
種 類 居宅
構 造 鉄筋コンクリート造1階建
床 面 積 1階部分 90・00平方メートル
敷地権の表示
符 号 1
所在及び地番 静岡市葵区…123番地
地 目 宅地
地 積 1000・00平方メートル
敷地権の種類 所有権
敷地権の割合 500000分の10000
コメント 登記事項証明書のとおりに記載しましょう。
3-4.アパート等の賃貸不動産を相続させる遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の不動産を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
所 在 静岡市葵区…
地 番 123番45
地 目 宅地
地 積 120平方メートル
所 在 静岡市葵区…123番地
家屋番号 1番23
種 類 共同住宅
構 造 鉄筋コンクリート造2階建
床 面 積 1階50.00平方メートル、2階50.00平方メートル
コメント 登記事項証明書のとおりに記載しましょう。
3-5.未登記の建物を相続させる遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の建物を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
所 在 静岡市葵区…123番地
家屋番号 未登記
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床 面 積 1階50.00平方メートル、2階50.00平方メートル
コメント 固定資産税納税通知書の記載を参考にします。
3-6.不動産を複数人に持分割合で相続させる遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の土地を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に2分の1、長女B(昭和○○年○○月○○日生)に2分の1の割合で相続させる。
所 在 静岡市葵区…
地 番 123番45
地 目 宅地
地 積 120平方メートル
コメント 不動産は、登記事項証明書のとおりに記載しましょう。各相続人の持分割合を指定します。
3-7.不動産の共有持分を相続させる遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の土地を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
所 在 静岡市葵区…
地 番 123番45
地 目 宅地
地 積 120平方メートル
持 分 2分の1
コメント 不動産は登記事項証明書のとおりに、持分も記載しましょう。
3-8.甲土地は妻に、乙土地は長男に相続させる遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の土地を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
所 在 静岡市葵区…
地 番 123番45
地 目 宅地
地 積 120平方メートル
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の土地を、長男B(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
所 在 静岡市葵区…
地 番 567番89
地 目 宅地
地 積 100平方メートル
コメント 登記事項証明書のとおりに記載しましょう。
3-9.土地の賃借権を相続させる遺言
第○条 遺言者は、遺言者がXに対して有する次の建物の賃借権を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
所 在 静岡市葵区…123番地
家屋番号 1番23
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床 面 積 1階50.00平方メートル、2階50.00平方メートル
コメント 不動産は、登記事項証明書のとおりに記載しましょう。誰に対する賃借権か明記しましょう。
3-10.預貯金を相続させる遺言
第○条 遺言者は、遺言者名義の次の預金債権を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号12345
コメント 通帳のとおりに記載しましょう。
3-11.預貯金は妻に、不動産は長男に相続させる遺言
第○条 遺言者は、遺言者名義の次の預金債権を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号12345
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の土地を、長男B(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
所 在 静岡市葵区…
地 番 567番89
地 目 宅地
地 積 100平方メートル
コメント 不動産は、登記事項証明書のとおりに記載しましょう。預貯金は、通帳のとおりに記載しましょう。
3-12.信用金庫の出資金を相続させる遺言
第○条 遺言者は、遺言者が〇〇信用金庫に対して有する次の出資金を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
口数 〇〇口
一口 〇〇円
出資金証書のとおりに記載します。
3-13.国債を相続させる遺言
第○条 遺言者は、遺言者名義の次の国債を長男A(昭和○○年○月○日生)に相続させる。
口座番号:〇〇証券 〇〇支店 口座番号12345
名称: 利付国庫債券(変動10年)
記号: 第7回
発行日: ○○年○月○日
金額: 300万円
利率: ○.○パーセント
利払日: 毎年5月15日および11月15日
償還日: ○○年○月○日
国債通帳のとおりに記載しましょう。
3-14.自動車を相続させる遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の自動車を、妻Aに相続させる。
登録番号 静岡〇〇あ12345
種 別 普通
車 名 ○○
型 式 ○ー○○○
車台番号 ○○○○
自動車検査証のとおりに記載しましょう。
3-15.ゴルフ会員権を相続させる遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有する次のゴルフ会員権を、長男Aに相続させる。
名 称 〇〇株式会社(〇〇カントリークラブ)
会 員 番 号 12345
預託金証書番号 〇〇〇〇
預託金証書記載金額 〇〇円
3-16.配偶者居住権を設定する遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の不動産を、長女A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。ただし、第○条の配偶者居住権の負担付きとする。
(1)土地
所 在 静岡市葵区…
地 番 123番45
地 目 宅地
地 積 120平方メートル
(2)建物
所 在 静岡市葵区…123番地
家屋番号 1番23
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床 面 積 1階50.00平方メートル、2階50.00平方メートル
第○条 遺言者は、第○条(2)記載の建物について、無償で使用及び収益をする権利(配偶者居住権)を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に遺贈する。
コメント 民法改正により、2020年4月から新設された配偶者居住権の設定です。文言は、「相続」ではなく「遺贈」と記載しましょう。
3-17.将来取得予定の財産を相続させる遺言
第○条 遺言者が、遺言者の母Xから次の土地の所有権を取得していたときは、当該土地を長女A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
所 在 静岡市葵区…
地 番 567番89
地 目 宅地
地 積 100平方メートル
コメント 誰から取得予定かを明記しましょう。不動産は、登記事項証明書のとおりに記載しましょう。
3-18.すべての財産を相続させる旨の遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有するすべての財産を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
コメント 財産の包括記載は有効です。「すべての」や「一切の」といった文言を記載しましょう。
3-19.すべての不動産を相続させる旨の遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有するすべての不動産を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
コメント 財産の包括記載は有効です。「すべての」や「一切の」といった文言を記載しましょう。
3-20.すべての不動産は妻に、すべての預貯金は長女に相続させる旨の遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有するすべての不動産を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
第○条 遺言者は、遺言者の有するすべての預貯金を、長女B(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
コメント 財産の包括記載は有効です。「すべての」や「一切の」といった文言を記載しましょう。
3-21.法定相続分と異なる割合を定めて相続させる遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有するすべての財産を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に3分の1、長男B(昭和○○年○○月○○日生)に3分の1、長女C(昭和○○年○○月○○日生)に3分の1の割合で、それぞれに相続させる。
コメント 財産の包括記載は有効です。「すべての」や「一切の」といった文言を記載しましょう。相続させる持分割合を記載します。
3-22.相続人がABCでAとBのみに割合を定めて相続させる遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有するすべての財産を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に2分の1、長女B(昭和○○年○○月○○日生)に2分の1の割合で、それぞれに相続させる。
コメント 財産の包括記載は有効です。「すべての」や「一切の」といった文言を記載しましょう。相続させる持分割合を記載します。
3-23.代償分割を指定する遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有するすべての財産を、遺産分割協議において次のとおりに分割するよう分割の方法を指定する。
① 遺言者の有するすべての財産は、妻A(昭和○○年○○月○○日生)が取得する。
② 前記妻Aは、前項記載の遺産を取得することの代償として、長女B(昭和○○年○○月○○日生)に対し、金1000万円を支払う。
コメント 遺言で遺産分割の方法を指定します。「代償分割」という文言を明記しましょう。
3-24.土地を遺贈する遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の土地を、長男Aの妻D(昭和○○年○○月○○日生、静岡市〇〇区〇〇番〇号)に遺贈する。
所 在 静岡市葵区…
地 番 123番45
地 目 宅地
地 積 120平方メートル
コメント 不動産は、登記事項証明書のとおりに記載しましょう。相続人以外の人へ財産を譲る場合は、「遺贈」という文言を使用します。
3-25.建物を遺贈する遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の建物を、長男Aの妻D(昭和○○年○○月○○日生、静岡市〇〇区〇〇番〇号)に遺贈する。
所 在 静岡市葵区…123番地
家屋番号 1番23
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床 面 積 1階50.00平方メートル、2階50.00平方メートル
コメント 不動産は、登記事項証明書のとおりに記載しましょう。相続人以外の人へ財産を譲る場合は、「遺贈」という文言を使用します。
3-26.区分建物(マンション)を遺贈する遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の区分建物及び敷地権を、長男Aの妻D(昭和○○年○○月○○日生、静岡市〇〇区〇〇番〇号)に遺贈する。
一棟の建物の表示
所 在 静岡市葵区…123番地
建物の名称 ○○
区分建物(専有)
専有部分の建物の表示
地番区域・家屋番号 1番23の101
建物の名称 1234
種 類 居宅
構 造 鉄筋コンクリート造1階建
床 面 積 1階部分 90・00平方メートル
敷地権の表示
符 号 1
所在及び地番 静岡市葵区…123番地
地 目 宅地
地 積 1000・00平方メートル
敷地権の種類 所有権
敷地権の割合 500000分の10000
コメント 不動産は、登記事項証明書のとおりに記載しましょう。相続人以外の人へ財産を譲る場合は、「遺贈」という文言を使用します。
3-27.未登記建物を遺贈する遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の建物を、長男Aの妻D(昭和○○年○○月○○日生、静岡市〇〇区〇〇番〇号)に遺贈する。
所 在 静岡市葵区…123番地
家屋番号 未登記
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床 面 積 1階50.00平方メートル、2階50.00平方メートル
コメント 固定資産税納税通知書の記載を参考にします。相続人以外の人へ財産を譲る場合は、「遺贈」という文言を使用します。
3-28.すべての財産を遺贈する遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有するすべての財産を、E(昭和○○年○○月○○日生、静岡市〇〇区〇〇番〇号)に遺贈する。
コメント 相続人以外の人へ財産を譲る場合は、「遺贈」という文言を使用します。財産の包括記載は有効です。「すべての」や「一切の」といった文言を記載しましょう。
3-29.妻に預貯金を相続させて、相続人以外の人に不動産を遺贈する遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有するすべての預貯金を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
第○条 遺言者は、遺言者の有するすべての不動産を、E(昭和○○年○○月○○日生、静岡市〇〇区〇〇番〇号)に遺贈する。
コメント 相続人以外の人へ財産を譲る場合は、「遺贈」という文言を使用します。財産の包括記載は有効です。「すべての」や「一切の」といった文言を記載しましょう。
3-30.停止条件を定めて遺贈する遺言
第○条 遺言者は、孫F(昭和○○年○○月○○日生、静岡市〇〇区〇〇番〇号)が婚姻したときは、金100万円を遺贈する。
コメント 相続人以外の人へ財産を譲る場合は、「遺贈」という文言を使用します。遺贈に条件を付することができます。
3-31.解除条件を定めて遺贈する遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の土地を、A(昭和○○年○○月○○日生、静岡市〇〇区〇〇番〇号)に遺贈する。ただし、Aが遺言者の長女であるBと離婚をしたときは、遺贈はその効力を失う。
所 在 静岡市葵区…
地 番 123番45
地 目 宅地
地 積 120平方メートル
コメント 相続人以外の人へ財産を譲る場合は、「遺贈」という文言を使用します。遺贈に条件を付することができます。
3-32.始期を定めて遺贈する遺言
第○条 遺言者は、遺言者の孫F(昭和○○年○○月○○日生、静岡市〇〇区〇〇番〇号)が満20歳の誕生日である令和○年○月○日に、同人に対し、金100万円を遺贈する。
コメント 相続人以外の人へ財産を譲る場合は、「遺贈」という文言を使用します。遺贈に条件を付することができます。
3-33.慈善団体等に一部の財産を除いて寄付をする遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の土地を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
所 在 静岡市葵区…
地 番 123番45
地 目 宅地
地 積 120平方メートル
第○条 遺言者は、遺言執行者をして、前条に記載する財産を除いた遺言者が相続開始時に有するすべての財産を換価処分させ、その換価代金から、遺言者の葬儀、法要、墓地に関する費用、及び遺言者の全債務、並びに契約費用、登記費用その他本遺言を執行するのに必要な一切の費用の支払いに充てさせた残金を、次の法人に遺贈する。
名 称 公益財団法人日本ユニセフ協会
主たる事務所 東京都港区高輪四丁目6番12号
コメント 慈善団体に寄付をする文例です。慈善団体は、原則として金員しか受け取れないので、財産を換価処分した後の金員を遺贈するとよいでしょう。
3-34.慈善団体等にすべての財産を遺贈する遺言
第○条 遺言者は、遺言執行者をして、遺言者が相続開始時に有するすべての財産を換価処分させ、その換価代金から、遺言者の葬儀、法要、墓地に関する費用、及び遺言者の全債務、並びに契約費用、登記費用その他本遺言を執行するのに必要な一切の費用の支払いに充てさせた残金を、次の法人に遺贈する。
名 称 公益財団法人日本ユニセフ協会
主たる事務所 東京都港区高輪四丁目6番12号
コメント 慈善団体に寄付をする文例です。慈善団体は、原則として金員しか受け取れないので、財産を換価処分した後の金員を遺贈すると書くことをおすすめします。
3-35.妻の扶養を負担として相続させる負担付遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有するすべての財産を、長男B(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
第○条 長男Bは、前条の相続の負担として、遺言者の妻A(昭和○○年○○月○○)が死亡するまで、同人に必要な生活費を支出し、身の回りの世話をしなければならない。
コメント いわゆる負担付き遺贈と呼ばれる遺言の書き方です。負担の内容を明確に記載しましょう。
3-36.障がいのある長男の扶養を負担として相続させる負担付遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の建物及び現金2000万円を、長男A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
所 在 静岡市葵区…123番地
家屋番号 1番23
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床 面 積 1階50.00平方メートル、2階50.00平方メートル
第○条 長男Bは、前条の相続の負担として、遺言者の次男C(昭和○○年○○月○○)が生存中、前条記載の建物に無償で居住させ、生活費として毎月〇万円を給付しなければならない。
コメント いわゆる負担付き遺贈と呼ばれる遺言の書き方です。負担の内容を明確に記載しましょう。
3-37.子を認知する遺言
第○条 遺言者は、静岡県静岡市〇〇区〇〇番(本籍)A(昭和○○年○○月○○日生)を認知する。
コメント 遺言によって、子を認知することができます。
3-38.祭祀承継者の指定をする遺言
第○条 遺言者は、遺言者及び祖先の祭祀を主催するものとして、長男B(昭和○○年○○月○○日生)を指定する。
コメント 遺言によって、祭祀承継者を指定することができます。祭祀財産(お墓などの財産)は、相続財産とは切り離されて承継されます。
3-39.長男を遺言執行者として指定する遺言
第○条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として、長男A(昭和○○年○○月○○日生)指定する。
コメント 遺言で遺言執行者を定めることができます。遺言執行者は、遺言内容を実現するための全権限を持ちます。
3-40.司法書士を遺言執行者として指定する遺言
第○条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。
名称 〇〇司法書士法人
本店 静岡市〇〇区〇〇町○番○号
コメント 遺言で遺言執行者を定めることができます。遺言執行者には、司法書士などの専門家を指定することもできます。遺言執行者は、遺言内容を実現するための全権限を持ちます。
3-41.遺言執行者を複数人指定する場合
第○条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。
名称 〇〇司法書士法人
本店 静岡市〇〇区〇〇町○番○号
名称 〇〇税理士法人
本店 静岡市〇〇区〇〇町○番○号
コメント 遺言執行者は、複数人指定することもできます。
3-42.相続人が遺言者より先に死亡した場合に、その代襲相続人に相続させる予備的遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有するすべての不動産を、長女A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
第○条 万が一、遺言者より前に又は遺言者と同時に前記長女Aが死亡していた場合、遺言者は、前条記載の不動産を、遺言者の孫(Aの長男)B(平成○○年○○月○○日生)に相続させる。
コメント 相続させる予定の人が遺言者より先に死亡した場合に備えて、その代襲相続人に相続させる旨を記載することができます(予備的遺言)。
3-43.子供のいない夫婦がそれぞれの配偶者に全財産を相続させる旨の遺言と、当該配偶者が先に死亡した場合の予備的遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有するすべての財産を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
第○条 万が一、遺言者より前に又は遺言者と同時に前記妻Aが死亡していた場合は、遺言者は、前条記載の財産を、遺言者の甥C(平成○○年○○月○○日生)に相続させる。
第○条 遺言者は、遺言者の有するすべての財産を、夫B(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
第○条 万が一、遺言者より前に又は遺言者と同時に前記夫Bが死亡していた場合は、遺言者は、前条記載の財産を、遺言者の甥C(平成○○年○○月○○日生)に相続させる。
コメント 相続させる予定の人が遺言者より先に死亡した場合に備えて、予備的に相続させる人を定めることができます(予備的遺言)。なお、共同遺言は禁止されているため(民法975条)、夫婦間でそれぞれに遺言を作成する場合は、別々の証書で遺言を作成しましょう。
3-44.以前に作成した遺言を撤回する遺言
第○条 遺言者は、平成○○年○○月○○日付で作成した公正証書遺言において、遺言者の有するすべての財産を妻Aに相続させる旨遺言したが、本遺言をもってそのすべてを撤回する。
コメント 遺言は、いつでも撤回することができます(民法1022条)。公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することも可能です。
3-45.以前に作成した遺言の全部を撤回し、新たにする遺言
第○条 遺言者は、平成○○年○○月○○日付で作成した公正証書遺言において、遺言者の有するすべての財産を妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる旨遺言したが、本遺言をもってそのすべてを撤回し、遺言者の有するすべての財産を長女B(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
コメント 遺言は、自由にいつでも撤回することができます(民法1022条)。公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することも可能です。
3-46.以前に作成した遺言の一部を撤回し、新たにする遺言
第○条 遺言者は、平成○○年○○月○○日付で作成した公正証書遺言の第2条中「遺言者の有するすべての不動産は、長男Bに相続させる」という部分を撤回し、「遺言者の有するすべての不動産は、長女C(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる」と改める。なお、その余の遺言は、すべて平成○○年○○月○○日付で作成した公正証書遺言のとおりである。
コメント 遺言は、いつでも撤回することができます(民法1022条)。遺言の一部を撤回し、変更することもできます。
3-47.推定相続人を廃除する遺言
第○条 遺言者は、遺言者の次男A(平成○○年○○月○○日生)を推定相続人から廃除する。次男Aは、平成〇〇年頃から平成〇〇年頃までの間、遺言者に対し、たびたび暴行を加える等の虐待をしたことによる。
コメント 遺言によって、推定相続人を廃除(相続権を剥奪)することができます。遺言者に対する、虐待、重大な侮辱、その他の著しい非行等の事実を具体的に記載しましょう。なお、廃除には裁判所による審判が必要なので、遺言に記載したからといって必ずしも廃除事由が認められるとは限りません。
3-48.推定相続人の廃除を取り消す遺言
第○条 遺言者は、次男A(平成○○年○○月○○日生)に関しなされた推定相続人の廃除(〇〇家庭裁判所 平成〇〇年(家)第12345号 推定相続人廃除申立事件)を取り消す。
コメント すでに決定されている推定相続人の廃除を、遺言によって取り消すことができます。
3-49.遺産分割を禁止する遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有するすべての不動産について、その分割を相続開始のときから5年間禁止する。
コメント 遺言によって、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産分割を禁止する条項を定めておくことができます。
3-50.遺産分割を禁止するが、特定の事実到来時は分割可能とする遺言
第○条 遺言者は、遺言者の有するすべての不動産について、その分割を相続開始のときから5年間禁止する。
2 前項の定めにかかわらず、遺言者の長男A(平成○○年○○月○○日生)が婚姻をした時は、前項の財産の分割を行うことができるものとする。
コメント 遺言によって、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産分割を禁止する条項を定めておくことができます。また、特定の事実到来時は分割可能とすることもできます。
第○条 遺言者は、遺言者の有する次の土地を、妻A(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
所 在 静岡市葵区…
地 番 123番45
地 目 宅地
地 積 120平方メートル
コメント 登記事項証明書のとおりに記載しましょう。