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【司法書士解説】相続登記の登録免許税はいくら?計算方法・免税措置・納付まで完全ガイド

税金の人形と計算機

「親が亡くなり、実家の土地と家を相続することになったけれど、何から手をつければいいのだろう…」
「不動産の相続手続きには、税金がかかるって本当?」

大切なご家族が亡くなられた後、悲しみに暮れる間もなく、様々な手続きに追われることになります。その中でも、土地や家といった不動産を相続した場合に避けて通れないのが「相続登記」です。

相続登記とは、亡くなった方(被相続人)からあなた(相続人)へ、不動産の名義を変更する手続きのこと。この手続きは、2024年4月1日から義務化され、今や「いつかやればいい」ものではなくなりました。

そして、この相続登記を申請する際に、必ず納めなければならない税金が「登録免許税」です。

不動産の価値(評価額)が高ければ高いほど、この登録免許税も高額になります。相続税とは別に発生する費用のため、「こんなにかかるとは思わなかった…」と後で慌てないためにも、事前にしっかりと知識をつけ、準備しておくことが非常に重要です。

この記事では、相続登記の専門家である司法書士が、登録免許税の基本から具体的な計算方法、知っておくと得をする免税措置、そして納付方法まで、網羅的に解説していきます。

1. 相続登記の「登録免許税」とは?相続税との違い

まず、基本となる「登録免許税」がどのような税金なのかを正しく理解しましょう。

登録免許税は「手続きの手数料」

登録免許税とは、一言でいえば「登記手続きを行うために法務局へ納める手数料」のようなものです。

これは登記申請時に必ず発生する国税であり、その税率は法律で明確に定められています。そのため、ご自身で手続きをしても、司法書士に依頼しても、納める登録免許税の金額は変わりません。

相続税との根本的な違い

多くの方が混同しがちなのが「相続税」との違いです。

  • 登録免許税:登記という「手続き」に対してかかる税金。不動産を相続して名義変更する人全員が対象。
  • 相続税:亡くなった方の財産を「相続すること」に対してかかる税金。相続財産の総額が基礎控除額を超える場合のみ対象。

つまり、相続税は支払う必要がない方でも、不動産を相続して相続登記をする限り、登録免許税の支払いは必須となるのです。この2つは全くの別物であると覚えておきましょう。

2. 【2024年最新】相続登記の義務化について

登録免許税の話を進める前に、大前提となる「相続登記の義務化」について触れておきます。これは、すべての不動産を相続する人全員に関わる非常に重要な法改正です。

2024年4月1日より、相続登記は義務化されました。

具体的には、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内」に相続登記を申請しなければなりません。

もし、正当な理由なくこの義務を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

この法改正により、これまで以上に迅速かつ確実に相続登記を行う必要性が高まっています。そして、その手続きに必須の登録免許税についての知識も、同様に重要度を増しているのです。

3. 登録免許税の計算方法を3ステップでマスター

それでは、実際に登録免許税がいくらかかるのか、具体的な計算方法を見ていきましょう。計算は以下の3つのステップで進めます。

ステップ1:不動産の「課税価格」を調べる

まず、税額を計算する元となる不動産の価格を調べます。この価格を「課税価格」と呼びます。

課税価格の基準となるのは、原則として「固定資産税評価額」です。これは、売買価格(時価)とは異なる、固定資産税を計算するために市区町村が定めた公的な価格です。

固定資産税評価額の調べ方

固定資産税評価額は、以下のいずれかの方法で確認できます。

  1. 固定資産税の納税通知書を見る毎年4月~6月頃に不動産の所有者宛に送られてくる「納税通知書」に同封されている「課税明細書」を確認します。「価格」または「評価額」という欄に記載されている金額が固定資産税評価額です。[画像: 固定資産税課税明細書の見本]
  2. 固定資産評価証明書を取得する納税通知書が見当たらない場合は、不動産の所在地を管轄する市区町村役場(東京23区の場合は都税事務所)の窓口で「固定資産評価証明書」を取得します。取得には、本人確認書類や手数料(1通300円程度)が必要です。相続人が請求する場合は、戸籍謄本など相続関係を証明する書類の提示を求められることもあります。

ステップ2:課税価格に税率をかける

課税価格が分かったら、次に税率をかけます。

相続を原因とする所有権移転登記の場合、登録免許税の税率は0.4%(1000分の4)です。

計算式: 課税価格 × 0.4% = 登録免許税額

【計算のポイント】

  • 1,000円未満は切り捨て:計算の元となる課税価格に1,000円未満の端数がある場合は、その端数を切り捨ててから税率をかけます。
  • :評価額が 7,654,321円 の場合 → 7,654,000円 として計算します。

ステップ3:算出した税額の100円未満を切り捨てる

ステップ2で算出した税額に100円未満の端数がある場合は、その端数を切り捨てます。この金額が、最終的に納付する登録免許税額となります。

【計算のポイント】

  • 100円未満は切り捨て:最終的な税額の端数処理です。
  • :計算結果が 30,616円 の場合 → 納付額は 30,600円 となります。

具体的な計算例で見てみよう

言葉だけでは分かりにくいので、具体的な事例で計算してみましょう。

【ケース1】土地と建物を相続した場合

  • 土地の固定資産税評価額:15,253,500円
  • 建物の固定資産税評価額: 4,812,400円
  1. 課税価格を合計する15,253,500円 + 4,812,400円 = 20,065,900円
  2. 課税価格の1,000円未満を切り捨て20,065,900円 → 20,065,000円
  3. 税率(0.4%)をかける20,065,000円 × 0.4% = 80,260円
  4. 100円未満を切り捨て80,260円 → 80,200円

よって、このケースで納める登録免許税は80,200円となります。

【ケース2】マンション(敷地権付き)を相続した場合

マンションの場合、専有部分である「建物」と、その土地の権利である「敷地権」の評価額を合算して計算します。固定資産評価証明書には、それぞれ分けて記載されています。

  • 専有部分(建物)の評価額:8,550,000円
  • 敷地権の評価額:12,345,678円
  1. 課税価格を合計する8,550,000円 + 12,345,678円 = 20,895,678円
  2. 課税価格の1,000円未満を切り捨て20,895,678円 → 20,895,000円
  3. 税率(0.4%)をかける20,895,000円 × 0.4% = 83,580円
  4. 100円未満を切り捨て83,580円 → 83,500円

この場合の登録免許税は83,500円です。

参考記事:相続登記(土地、家など不動産の相続)に必要な書類と申請方法

4. 必ずチェック!登録免許税の免税・軽減措置

高額になりがちな登録免許税ですが、一定の条件を満たすことで税が免除される特例措置があります。これらは自動的に適用されるわけではなく、申請時に自ら申告する必要があるため、知っているかどうかで大きく費用が変わる可能性があります。

免税措置①:相続した土地の評価額が100万円以下の場合

【適用期限:2025年(令和7年)3月31日まで】

土地の価額(固定資産税評価額)が100万円以下の場合には、不動産を取得する相続人が受ける相続登記について、登録免許税が免除されます。

免税措置②:数次相続における中間者への登記

【適用期限:2025年(令和7年)3月31日まで】

相続によって土地を取得した方が、その土地の相続登記をしないで亡くなってしまった場合、その亡くなった方(一次相続人)を名義人とするための登記(数次相続における中間者への登記)については、登録免許税が免除されます。

5. 登録免許税の納付方法

計算した登録免許税は、どのように納付するのでしょうか。主な方法は2つあります。

1. 収入印紙で納付する(推奨)

最も一般的な方法が、税額分の収入印紙を購入し、登記申請書に貼り付けて納付する方法です。

  • 購入場所:郵便局、法務局内の印紙販売所など。
  • 貼り付け方:登記申請書の末尾などに「登録免許税」として金額を記載し、その下や余白に収入印紙を貼り付けます。収入印紙を貼り付けるための「印紙台紙」を申請書と合綴(ホチキスで留める)しても構いません。
  • 注意点:貼り付けた収入印紙に消印は絶対にしてはいけません。消印してしまうと無効となり、再度購入が必要になるので十分注意してください。

2. オンラインで電子納付する

インターネットを利用してオンラインで登記申請(電子申請)をする場合は、金融機関のインターネットバンキングやモバイルバンキング、ATMを利用して電子納付することも可能です。

司法書士に依頼する場合は、司法書士がオンラインで手続きを行い、電子納付で対応することが多いです。

6. 登録免許税以外にもかかる!相続登記の総費用

相続登記を完了させるまでには、登録免許税以外にも費用がかかります。全体の予算を把握するためにも、主な費用を知っておきましょう。

  • 必要書類の取得費用
    • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式:数千円~1万円以上
    • 相続人の現在の戸籍謄本:1通450円
    • 不動産を相続する人の住民票:1通300円程度
    • 固定資産評価証明書:1通300円程度
    • 印鑑証明書:1通300円程度
  • 司法書士への報酬相続登記を司法書士に依頼した場合に発生する報酬です。報酬額は事務所や事案の難易度によって異なりますが、一般的な相続登記であれば5万円~15万円程度が相場です。戸籍の収集から遺産分割協議書の作成、法務局への申請まで一括で依頼できるため、手続きに不安がある方や、平日に時間を取れない方にとっては大きなメリットがあります。

7. まとめ:相続登記と登録免許税で困ったら専門家へ

今回は、相続登記に必須の税金「登録免許税」について詳しく解説しました。最後に、重要なポイントをまとめておきます。

  • 登録免許税は、不動産の名義変更手続き自体にかかる税金(手数料)。
  • 相続税とは別物で、相続登記をする人全員が納付の対象。
  • 税率は固定資産税評価額の0.4%。計算には1,000円未満と100円未満の切り捨てルールがある。
  • 評価額100万円以下の土地など、特定の条件で受けられる免税措置がある(要申告)。
  • 納付は収入印紙で行うのが一般的(消印は不要)。
  • 2024年4月から相続登記は義務化されており、3年以内の手続きが必要。

登録免許税の計算自体はシンプルですが、その前提となる戸籍の収集や遺産分割協議、そして法務局へ提出する申請書の作成は、非常に専門的で手間のかかる作業です。

特に、免税措置の適用判断や、数次相続(相続が何代にもわたって発生している)など複雑なケースでは、ご自身で対応するのは困難な場合が少なくありません。

相続登記の手続きで少しでも不安や疑問を感じたら、私たち司法書士にご相談ください。費用の見積もりはもちろん、あなたにとって最もスムーズで確実な方法をご提案させていただきます。

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