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【相続放棄解決事例】疎遠だった父の死後、多額の借金が発覚。相続放棄で支払い義務を回避したAさんのケース

父の借金を防ぐために相続放棄をしたケース

「長年連絡を取っていなかった親が亡くなり、遺品から多額の借用書が見つかった…」

このような事態は、決して珍しくありません。突然、家族の負債を背負うかもしれないという状況は、大きな不安を伴うものです。

本記事では、当事務所にご相談いただき、「相続放棄」という手続きで亡きお父様の借金問題を無事に解決されたAさんの事例をご紹介します。もし、あなたご自身が同じような状況にあるのであれば、相続放棄の手続きや注意点をご確認いただき、問題解決の第一歩としてお役立てください。

1. ご相談の背景:10年間疎遠だった父の突然の訃報と借金の発覚

ご相談に来られたAさんは、亡きお父様の長女です。お父様が生前に借金を繰り返していたことなどから親子関係は疎遠になり、亡くなるまでの約10年間、ほとんど連絡を取らない状況が続いていました。

お父様の死後、Aさんが遺品を整理していると、複数の消費者金融の名前が記載された借用書督促状の束を発見。「この多額の借金を、私がすべて支払わなければならないのだろうか?」という不安にかられ、当事務所へ相談に来られました。

2. 相続放棄とは?借金を相続しないための法的な手続き

「相続」とは、預貯金のようなプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産もすべて引き継ぐ制度です。そのため、何もしなければ、亡きお父様の借金はAさん自身の支払い義務となってしまいます。

これに対し「相続放棄」は、プラス・マイナスを問わず、一切の財産を相続しないと意思表示をするための法的な手続きです。この手続きが家庭裁判所に正式に認められると、その人は「初めから相続人ではなかった」とみなされ、借金の支払い義務から法的に解放されます。

【重要ポイント1】相続放棄には「3ヶ月」という厳格な期限がある

相続放棄を検討する上で最も注意すべきは、その期限です。

原則として、相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に、家庭裁判所へ申述(申立て)しなければなりません。

この3ヶ月という「熟慮期間」を過ぎてしまうと、原則として相続放棄は認められず、「単純承認」した(すべての財産を相続した)とみなされてしまう可能性があります。Aさんのように、亡くなった直後に借金が発覚した場合は、迅速な準備が不可欠です。

参考記事:相続放棄の期間は3ヶ月-具体的な期間計算の方法

3. 【Aさんのケース】司法書士による相続放棄手続きの具体的な流れ

当事務所では、Aさんからご依頼を受け、速やかに相続放棄の手続きに着手しました。

STEP1: 財産調査と方針の最終決定

まず、亡きお父様の財産状況を改めて調査したところ、やはりめぼしいプラスの財産は見当たらず、借金が大幅に上回ることが明らかでした。この結果をご報告し、正式に相続放棄の方針を決定しました。

STEP2: 必要書類の収集と申述書作成

相続放棄の申述には、被相続人の戸籍謄本類や住民票の除票、申述人の戸籍謄本など、多くの公的書類が必要です。当事務所は、これらの書類を代行して取得し、裁判所へ提出する相続放棄申述書を作成することで、Aさんのご負担を大幅に軽減しました。

STEP3: 家庭裁判所への申述と受理

すべての書類を揃えて家庭裁判所へ申述後、裁判所からの「照会書(質問状)」にAさんがご自身で回答。その後、無事に申述が受理され、裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が発行されました。これにより、Aさんは法的に亡きお父様の借金支払い義務から解放されました。

参考記事:相続放棄の手続き・必要書類・費用・注意点を解説

4. 相続放棄の「その後」に潜む注意点

手続きが無事に完了し、一安心したAさんでしたが、「私が放棄したら、子供に請求が行ってしまうのでは?」と心配されていました。これは、多くの方が誤解しやすいポイントです。

【重要ポイント2】相続権は次の順位の相続人へ移る

相続放棄をすると、その人は「初めから相続人ではなかった」ことになるため、Aさんの子供が代わりに相続人になる「代襲相続」は発生しません。

しかし、話はここで終わりません。同順位の相続人全員が放棄すると、相続権は次の順位の相続人へと移っていくのです。法律では、相続順位は①子→②直系尊属(父母等)→③兄弟姉妹と定められています。

Aさんのケースでは、第1順位のAさんが放棄し、第2順位であるお父様のご両親も既に他界されていたため、相続権は第3順位である、お父様の兄弟姉妹(Aさんから見れば叔父・叔母)へと移ることになりました。

【重要ポイント3】次順位の相続人への連絡で混乱を防ぐ

もし、Aさんが何もしなければ、ある日突然、叔父や叔母のもとへ金融機関から督促状が届き、親族間の思わぬトラブルに発展したかもしれません。

Aさんは事前に当事務所からこの事実について説明を受けていたため、ご自身の相続放棄手続きと並行して、叔父・叔母へ連絡をとり、事情を丁寧に説明されました。幸い、叔父・叔母はAさんの状況を理解し、「自分たちも相続放棄をする」と約束してくれたそうです。

このように、相続放棄をする際は、次の順位の相続人へ事前に連絡を入れておくことが、親族間の無用なトラブルを防ぐために非常に重要です。

5. まとめ:相続放棄に関するお悩みは、一人で抱え込まず専門家へ

本記事でご紹介したAさんの事例は、相続放棄によって、予期せぬ借金の負担から解放された典型的なケースです。

相続放棄はご自身の生活を守るための正当な権利ですが、「3ヶ月」の厳格な期限次順位の相続人への影響など、知っておくべき注意点が数多く存在します。また、亡くなった方の遺産に手をつけてしまうと、放棄が認められなくなる「法定単純承認」というリスクもあります。

もし、あなたやご家族が借金の相続でお悩みであれば、決して一人で抱え込まず、できるだけ早く当事務所のような法律の専門家にご相談ください。私ども司法書士がご依頼者様のお気持ちに寄り添い、法的な手続きを正確かつ迅速に進めることで、ご不安の解消をサポートいたします。

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