「相続登記」とは、相続による不動産の名義変更のことです。
登記は、1つの不動産につき、1枚の申請書を出すことを原則としていますが、一定の条件を満たせば、1枚の申請書で複数の不動産の登記をすることも可能となります。
1.相続登記の一括申請の条件
複数の不動産を1枚の申請書で登記することを、「一括申請」といいます。
登記の一括申請は、次の条件を満たせば可能となります。
- 不動産の管轄法務局が同一(登記をする法務局)
- 登記の目的が同一
- 登記の原因及びその日付が同一
- 当事者が同一
たとえば、次のようなケースでは、一括申請をすることができます。
登記の申請書は、次のようなものになります。
登記申請書
登記の目的 所有権移転 原 因 平成◯年◯月◯日 相続 相 続 人 (被相続人 A) 静岡市葵区◯◯番の◯ B 添付書類 登記原因証明情報 住所証明情報 評価証明書 送付の方法により登記識別情報の交付を希望します 平成◯年◯◯月◯◯日申請 静岡地方法務局 御中 課税価格 金1000万円 登録免許税 金4万円 不動産の表示 1. 2. 3. 4. |
※一括申請の条件を満たしていれば、すべての不動産を1枚の申請書に記載することができます。
一方で、次のようなケースは、一括申請をすることができません。
- 被相続人:A
- 相続人:B、C、D
- 不動産:静岡市に土地3筆、建物1棟
- 不動産取得者:Bが土地1筆と建物1棟を取得、Cが土地2筆を取得
このケースでは、不動産取得者がAとBの2名となっていますので、①Bの登記申請書と、②Cの登記申請書の2件に分けて申請する必要があります。
- 被相続人:A
- 相続人:B、C、D
- 不動産:静岡市に土地2筆、浜松市に土地1筆、建物1棟
- 不動産取得者:Bがすべての不動産を取得
このケースでは、Bがすべての不動産を取得していますが、不動産所在地が静岡市と浜松市に分かれています。静岡市と浜松市の法務局の管轄は異なりますので、登記の申請書は、①静岡市の法務局に提出する分、②浜松市の法務局に提出する分の2件に分けて申請する必要があります。
2.まとめ
ここでは、複数の不動産をまとめて登記する方法をみてきましたが、いかがだったでしょうか。
一度にまとめて複数の不動産を登記してしまえば、手続きが非常に簡便になります。ご自身で手続きを進める際の、参考にしていただけたら幸いです。
ポイントは、①不動産がすべて同じ市区町村にある(管轄の法務局)、②不動産取得者がBのみ、という点です。